外
☆
『まさか、こうなるとは……アレが裏目に出る事になるとは』
「……警戒して、別の入口を探すしか……待つにしても、時間が勿体ないです」
『そうだな。誰かは息を潜めているはずだ。とはいえ、生きているだけで、良かった方だ。行先次第では、死ぬ事もありえたからな』
罠に嵌り、床が開いた事で、地下へと落下死する可能性もあった。彼が死んだ時点で擬似的世界は終わりを迎える。
だが、カイトは五体満足のままに生存に成功。
真下に落下したのは一瞬で、体が滑っていく形。調理場から焼却炉に繋がるゴミの通路と同じ仕組みだろう。
その結果、カイトが行き着いた先は外。館の外に放り出されてしまったのだ。
カイトが出てきた出口は閉ざされ、押しても引いても、外側から開く事は不可能。
重さと落下速度による衝撃が必要かもしれない。
館の入口から戻る。それもメアリとキスが生み出した結界により、消えるまでの間は入る事は無理だろう。
結界も弱まっているようだが、それでも一、二時間は必要ではないだろうか。
地道に攻撃し、時間短縮するにしても、二重結界。一つ壊したところで、もう一つある。
メアリを助けに行くためには致命的な時間になる。
「そうですね。ここは入口の裏側……ですか?」
『そうだな。黒の侵入者が待ち構えていた場所だ。像の位置がそれだ』
死神が言う像というのは、侵入者対策の魔導具の事だろう。魔力が無く、壊れた状態。置かれている位置が前後左右で違っているのを覚えているようだ。
そして、カイトが出てきたのは黒の侵入者が待ち構えていた場所。館の入口の反対側にあたる。
『別の入口を探すのも、ある程度の目星は必要だ。あるとすれば、この場所から焼却炉のある小屋部分ではないかと推測する』
「出口があるとするなら、入口も側にあるわけですか?」
入口の反対側は浴室やトイレ、調理場等の端に面しているが、ドアらしき物は見当たらなかった。
調理場は様々な魔導具があり、偽装している可能性はゼロではないが。
あるとすれば、焼却炉がある方面か。地下にあり、一番怪しくはある。
だが、零の監視があったものの、ある程度はカイトも調べる事が出来たが、入口らしき物は見つけられていない。
『七が赤と黒の侵入者を招き入れた事を考えた。別の入口があったとして、こちら側にあった可能性は十分ありえる』
カイト達が焼却炉側に向かった事で、別の入口が使用出来なかった。
別の入口が存在すれば、七が招き入れなくても侵入可能になるわけだが。彼が裏切ったのはすでに分かっている事で、すでに意味は無くなっている。