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再確認

「命約の解除方法もそうだけど、メアリは別の場所に運ばれた。それが分かっただけで十分な成果。これで本命は客室の端にある部屋なったわけね」


 キスは工房にある魔導具を無視して、客室側に向かおうとする。


 魔導具を下手に触れるのは危険であるが、侵入者……十達を相手にするために持ち出したところだ。


 だが、相手はそれが何の魔導具なのかを把握しているだろう。こちらはそれを把握していないのたから、それを利用されてもおかしくない。


 下手に持っていく方が危険なまである。


『そうなるだろう。第二書斎のような隠された部屋が一階にまだ存在するとしても、メアリが運ばれたのは二階の何処という可能性が高い』



「そうですね。第二書斎の出来事があったとしても、メアリ様を運ぶのに一階へ降りたら、僕達と鉢合わせになってもおかしくはないですから」


 侵入者はメアリが転移してくるのを待ち、気絶させ、別の場所に運ぶ。


 それをカイトが来るまでに完了させなければならない。


 メアリを運ぶ場所が一階であれば、最短の時間だとしても、階段で会ってしまうだろう。


 そんな場面でカイトが侵入者、三達に協力するはずがない。


「気絶している人間を簡単に運べるわけではないから。そんな事で魔法を使うわけがないわ」


 メアリを運ぶのは従者の役目。零、もしくは三。二人で運んだと考えるべきだろう。


 館の主がこんな事で貴重な魔力を消費するとは思えない。


 十は片腕を無くし、零は片腕を痛めている。どちらかが三のフォローに回れば、メアリを運べるはずだ。


「消えてないわね。悪いけど、死体は放置させるから」


 キスとカイト二人が工房から廊下に出ると、七の死体は消えずに残っていた。


 分身ではなく、本人であるから当然だろう。彼の死体を消すため、零達が運ぶメリットはない。


 それに魔法使いでなければ、主の館に死体を送り返す必要もない。死神か生み出した擬似的世界なのだから尚更だ。


「キス様がそういうのであれば……仕方ないです」


 それに味方ならともかく、キス達を裏切ったのは明白だ。そんな相手の死体まできちんと供養する余裕もない。


「ですが……もう一度だけ確認します」


 客室側に向かうためには、この死体に背中を見せる事になる。こんなに血を流しながらも、死んだフリ……演技の可能性を考える。


 十の死体が消えた場所には血の跡が残っていた。血の偽装も調べてはみるべきだろう。


「息もしてない。胸の部分も……」


 呼吸もなし。燕尾服を少し脱がしてみると、胸の部分に矢が刺さっていた箇所に穴があり、血が今も出ている。


「やり過ぎなぐらいで丁度良いわ。確認もした事で、先に行くわよ」

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