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転移先

「アンタじゃなくても、メアリにナイフの魔導具を突き刺す事も出来たと思うのだけど、魔力に耐性がある分、弾かれるのかもしれないわね」


 生贄にするために、従者との命約が邪魔になる可能性もある。それを先に解くため、メアリにナイフの魔導具を刺す事も出来ただろう。


 それをしなかったのは、魔法使いの魔力に対する耐性かもしれない。従者は燕尾服の守りもあるが、命約を解除するぐらいの魔力であれば、燕尾服の魔力すらも打ち消しそうではある。


 だが、魔法使いは魔力が無くなるわけではなく、解除出来ようがない。


 だとすれは、狙うのは従者の方になる。いや、従者自身が解いたのであれば、魔法使いの懐に入れた時点で計画は達成されていたのかもしれない。


「それよりも私が気になるのは」


『工房なら、それがあってもおかしくはないな。書斎の側にあるのだから、零が待ち構えるも可能だ。そこから別の部屋に運ぶ事も』


 キスの視線の先にあるのは鏡。魔導具を作成する工房なのだから、鏡の魔導具が当然あるはず。


「魔力が僅かながらに残ってる。つまり、使われた形跡があるわけ。タイミングを考えると」


「メアリ様が転移したのが、この場所だと……ここから別の場所に運ばれた可能性があるわけですね」


「確定ではないけどね。七が使ったかもしれないし、鏡の魔導具には別の用途もある。けど、分身が隠れている様子もない」


 鏡の魔導具は一つだけ。分身を生み出したのであれば、工房で待機しているはず。


 鏡の中に物を隠す。物だけでなく、人を閉じ込める事が可能だとしても、転移用の鏡も必要になる。


『私もメアリが転移された事に賛成だ。理由は鏡付近に置かれている道具だ。転移慣れをしておらず、行き先も知らなければ、そうなるだろう』


 鏡の魔導具前に置かれていた道具が軒並み倒れたように横に倒れたり等して、崩れた形になっていた。


 最初からそうなっていたとも考えられるが、他の道具は綺麗に整頓されている。


「……言われてみると、僕もそうでしたね」


 鏡の魔導具で転移した時、勢いよく飛び出してしまった。慣れ次第ではそれもしなくなるかもしれないが、メアリも同じように勢いよく出てしまったのではないだろうか。


 勢いがなかったとしても、物が多く置いてある部屋に出てしまえば、手足に物が当たってしまうのも必然的。


 零達の誰かがメアリを気絶される……いや、眠らせたのであれば余計にだ。気絶であれば、命約によって、カイトが身代わりになると考えるだろう。


 メアリを眠らせるのには一度成功している。呪いは身代わりになるが、病気はしない。睡眠の薬もそちら寄りに作られたのか。


 それを直すまでの時間も勿体なかったのだろう。


 七の分身の言葉を聞き、カイトが第二書斎を出るまでに移動させたかった可能性も十分ある。

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