表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
390/424

新たな死体

「見た感じはどうかしら。こっちは魔力を感じない。極力抑えていて、側に寄らないと駄目な可能性もゼロではないわ」


『何も変化はないな。君の目の良さは彼女だけでなく、零達も把握しているはずだ。反対側も……』


 先に向おうとしていたのは客室側の奥。キスはそちら側の魔力の流れを確認し、反対側までは見ていない。


 一階の第二書斎のように、客室側に隠し部屋がある広さはない。あるとすれば、反対側の絵画室やピアノ室の方。


 絵画室のように扉が違っている事もあり、部屋数が違っている可能性もある。


 死神の判断は間違ってはいない。だが、途中で会話を区切ったのは何故なのか。


『血の臭いだ。ここまで届くとなると……距離的に近いはずだ』


「それって!!」


 カイトは死神との会話を止め、即座に絵画室側の廊下に顔を向ける。


 彼とキスがこの場にいる以上、残る人物は一人しかいない。


 メアリ。生贄として捕らえたなら、安全だと考えたが、それは単なる想像でしかない。


 魔法使い全員を殺すつもりでいるのなら、彼女も対象になるのは当然。


 カイトが拒否するのであれば、別の誰かがする。


 キス殺害に失敗した灰色の従者が、代わりとばかりに彼女を手に掛ける可能性も十二分にある。


 未遂に終わったが、カイト殺害も本来するはずではなかった。


「何よ。二階の廊下に魔力の痕跡は……」


 客室側だけでなく、二階の廊下に魔力の痕跡がない事をキスは感じていたようだが、目には入れてなかった。


「……あれは分身ではないでしょうね。確認しに行くわよ」


 絵画室側の奥に近い位置に死体が置かれている。それもボウガンの矢が突き刺さった状態だ。


 キスが少しの動揺はあるものの、落ち着いていられるのは死体の服装もある。


 カイトが死体へすぐに駆け付けていかなかったのもそうだ。


 死体か着ていたのは灰色の燕尾服。メアリが着ていた物でない事は遠目でも分かった。


 更に言えば、メアリが相手を殺したわけでもない。矢がそれを証明している。


 こうなると、七に招かれて、赤と黒の侵入者が再度侵入している可能性が高くなる。


 ボウガンを所持していたのは黒の侵入者。奴が使用したのか。


 零と赤の侵入者はボウガンを使用するのは難しいだろう。零は腕を負傷しており、赤の侵入者に関しては片腕を失っている。


「仲間割れをしたのなら、こっちとしては都合が良いのだけど。あの死体がどちらかによるわね」


 灰色の燕尾服を着ている事により、死体が誰なのかは二択になる。


 灰色の侵入者か。もしくは、零なのか。


 零であるのなら、書斎を出て、すぐに殺された可能性がある。だとすれば、彼女は侵入者達の共犯ではなくなるのではないか。


 怪しい面はあったが、確定するような失敗は犯してない。そこで殺す必要はないはずだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ