従者の人形
「出しゃばるのもいい加減にしなさいよ。逆にお前の発言が主の立場を悪くする事もあるわけ。七は動かなくていいわ。従者同士の争いは禁止されてるからね。それを狙ってなら、悪くない考えではあったけど」
キスの言葉に七が反応して、カイトの動きを制限するために動こうとしたようだ。それを彼女の一声で静止された。
従者同士の争いは御法度。七が先に仕掛けたのなら、罰を受けるのはキスになってしまう。
勿論、カイトはそれを狙ったわけではない。
「そのような事は決してありません。不用意な発言も謝ります」
「……気になる事を言ったな。従者の部屋に変化があったと。その報告を私は聞いていないが」
「そうね。私も七から何も聞いてないのだけど? 勝手な行動を取ったのだから、情報は共有して貰うわよ」
アルカイズとキスは従者の部屋にあった人形が増えていた事を報告されてなかったようだ。
七はすでに寝ていた感じではあったが、三はその場にいたはずだが、カイトを注視はしていなかった。
「勿論です。私から説明します」
カイトではなく、メアリが説明するようだ。隠すような内容もなく、説明次第では従者達の人形も同じ容姿をしているのかを聞き出す事も出来るだろう。
『君が発言するよりも良いだろうな。だが、他の人形の事や、誰が置いたかの判断が出来る情報は引き出せるか』
「その前になのですが、ディアナ様、アルカイズ様、キス様の従者の皆様は人形をご確認したご様子。その人形も貴方達に似ていたのでしょうか?」
カイトや死神の心を読んでるかの如く、メアリは気になってる部分を的確に質問した。彼女自身もそこは知っておきたいのだろう。
「七……答えてあげなさいよ」
「何か意図があるのでしょう。十も答えてあげなさい」
「出し惜しみする必要もないからな。三も言ってやれ」
ディアナ達は従者達にメアリの質問に答えるように指示する。
「はい。私の特徴は捉えていたと思います」
「その通りです。髪型や装飾品で相手に似せています」
「人形は似ていましたが、色の違いはありませんでした」
七、十、三という順番で淡々と答えていく。カイトのように感情的になる事はなさそうだ。
「だそうよ。これを聞いて、何になるわけ? 謎の一つでも解明したのなら、答えなさいよ」
「答えではなく、謎が増えたと思います。私があの時間に調べたのは人形。従者達が使用している場所は調べてませんので、ご安心ください。それ以外の場所では、ディアナ様達に似た人形が置かれていました」
「その事は十から話を聞いています。私達に似た人形には何もしていませんよね?」
従者が使用している場所を調べてなくとも、魔法使い達に似た人形を触れてしまっている。これで何かあった場合、メアリが疑われてしまう。
「人形に触れただけです。それ以外には何もしてません。その人形は魔導具ではなく、ただの人形でした。私と壱の人形で調べてみたので、間違いありません。そして、彼の人形は後に増えてたらしいのです」




