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介入


「時間ギリギリね。主が従者に起こされるなんて、前代未聞よ。これもメアリが従者を甘やかしてる証拠でしょ。お前のせいで、主が恥をかくのだから、ちゃんとしなさいよ」


 食堂に着くなり、メアリとカイトはキスに小言を聞かされた。彼女が従者の部屋に入るところを見られたのだろう。


 時間は集合時間六時の三分前。本当にギリギリだ。これはカイトの寝坊もあるが、人形を見るように頼んだのも悪かった。


「申し訳ありません」


 カイトが謝るよりも先にメアリが頭を下げた。勿論、直後にカイトも頭を下げる。従者の失敗は主のせいでもある。


 キスは従者の謝罪ではなく、主であるメアリが頭を下げる事を求めているのが分かったからだ。


「まぁまぁ、時間には間に合ったのだから」


 ディアナは紅茶を口に入れた後、落ち着いた様子でキスを宥めた。


 ディアナ達がテーブルに座る場所は前回と同じ。後ろには従者達が控えている形だ。


 零の姿はない。ディアナ達に紅茶が振る舞われているところを見ると、調理場にいるのだろう。


「彼女は朝食の準備をしている。飲み物が欲しければ、従者が調理場に取りに行けばいい。その用意はされているようだ」


「すぐに行きます。メアリ様は座っていてください」


 アルカイズに言われて、カイトは紅茶を取りに調理場へ。


 調理場には朝食を作る零の後ろ姿がある。


「おはようございます。皆様方の会話はこちらからでも聴こえていました。テーカップは目の前に用意してますので、ご自由にどうぞ。朝食も準備もすぐに終わりますから」


「ありがとうございます」


 零は食堂からの声が聴こえていたようで、カイトが調理場へ来た事をすぐに気付いた様子。とはいえ、カイトの方に振り向くはなかった。


 昨日はカイト達が寝る前に彼女は戻って来ていない。朝も早い事から、寝る時間はあったのだろうか。その事を少し聞いておきたいところだが。


「そういえば、従者の部屋には色々と謎らしき物があると従者から聞いています。ベッドの色。その中にある数字。そして、私達に似た人形があったらしいですね」


「私もその事は三から聞いている。時間が掛かったのは、それを調べていたからなのか?」


「それを始めるのは集合した後よね。約束を破ったわけ」


 ディアナ達は従者の部屋について、十や三、七から話を聞いているのは当然といえば、当然か。


 謎解きは集合した後から開始されるはずであり、人形を調べるのは約束違反に当たる。


『彼女の事は気になるが、主であるメアリが危険な立ち位置になりそうだ。君はそちらを優先させるのだろ?』


 疑われる原因を作ったのはカイトであり、メアリが人形を調べたのも事実。下手に嘘を吐いて、魔法で調べられたら終わりだ。


「すみません。それは従者の部屋で起きた変化をメアリ様に伝え、危険がないかを調べて貰ったのです」


 カイトは危険を承知で、従者でありながらも主同士の会話に割り込んだ。


 冷静を装うため、メアリの前に持ってきた紅茶を置くのだが、その手は少し震えている。


 先程、従者にとっての態度を叱られたばかり。この行動が良いわけではない事は、カイトも分かっているようだ。

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