招待状
「この継承権の話……招待状は七が持ってきた物なんでしょうか? 彼が選ばれたのは……本当に一番優秀だったからですか?」
彼等が選んだ魔法使いを招待したのであれば、人形がすでに用意されていてもおかしくはない。
ただし、その魔法使いが七達を連れて行く従者にするかは別の話だ。
ディアナの一番が重症を負ったとしても、他にも多くの従者が残っている。
優秀であるのは当然として、別の理由はなかったのだろうか。
キスは七を優秀だと言っていたが、信用していない面があるのを、カイト達は目にしている。
「……アンタが気にしている事は分かるわ。けど、アイツが招待状を渡してきたわけじゃないわ。七を指定してきたわけでもない。それはディアナやアルカイズも同じだと思うわ。でなければ、予知魔法があるのを信じないでしょ」
十、三、七を館の主が指定していたのであれば、それは予知にはならない。
招待状を主に渡したのが彼等だった場合、それも疑う対象にはなっていたかもしれない。
そうでなかったから、ディアナ達も予知魔法を信じた。彼女達の意思で従者を選んだ事になる。
『これ以上深堀して聞くのは止めておくか。この状況で、彼女が嘘を吐く理由がない。三人の招待状の中身が見れたらの良いのだが』
招待状。その中身がキス達それぞれに内容が違っていたとすれば。それ自体が魔導具であったのなら。従者を誘導する事は可能なのか。
ディアナとアルカイズの死体は消えていない。部屋も保存されたまま。
調べる事が出来れば、招待状を発見可能……ではない。
「招待状をキス様達は持ってきていたと思うのですが……それ所持する役目は従者なので」
招待状は本人だと証明が必要だと、メアリも持ってきている。本来はメアリが所持していたのだろうが、今回はカイトが所持している。
キス達も従者達に持たせているはず。ディアナやアルカイズや部屋を調べても見つからないだろう。
「……七を選んだのは優秀だったからなんだけど、長年一緒にいた従者を選ばなかったのは……何故それだけで決めたのかしら?」
七が優秀だとしても、長年連れた従者の方がキスの事を分かっていたかもしれない。いつも連れていた従者じゃなくとも、二番三番目を選ばなかったのか。
キス本人も今になって自覚しているようだ。とはいえ、七が魔法使いという事はないだろう。
「優秀な従者を他の魔法使いに見せたかったのあるかもしれないわね。それを漬け込まれたのかしら。ディアナもその感じはあったから」
館の主も優秀な従者を他の魔法使いに送り込むはずであり、魔法使いもそれを自慢する。
ディアナやキスはその面があり、それを利用された可能性はある。
アルカイズに関しては、優秀というのもあるが、性別と好みを優先させたのかもしれない。
だが、三はどうなのか。彼女はアルカイズを二番目の主と言っていたが、それは嘘なのか。彼女は最初の主を毛嫌いしていたはず。




