そっくり
「魔導具……ではないんですよね?」
「ええ。そうではないのだけど、この人形達の特徴……姿が私達と似ているような気がします。増えたであろう人形も、髪型や細さ、目の雰囲気等が壱のような……こちらの人形は私ですね」
『確かにそうだな。君の特徴を掴んでいる』
人形は全て同じではなく、姿形は違っている。それを考えると、人形は七体ではなく、八体に間違いないだろう。
しかも、カイト本人では分からなかったが、増えた人形の姿はカイトを模してる風ではある。
そして、メアリが持っている人形もメアリ自身に見えてくる。他の人形もキス、アルカイズ、ディアナだと言われてみたら、そのように思えてくる。
「この人形が私達の姿に似ている事に意味があるのでしょう。継承権の招待状を送るのだから、魔法使いである私やディアナ様、アルカイズ様とキス様の姿を人形に似せる事も可能ではあると思うのですが」
メアリの言う通り、招待状を送るあたり、彼女達の情報は手に入れているのだろう。事前に本人に似た人形を準備は出来るはずだ。
「ただ……従者の場合はそうもいかないかと。壱の場合は例外です。私の従者は貴方しかいないのですから、一度見た事があれば問題ないでしょう」
『なるほど。三人の魔法使いがどの従者を連れて来るのか判断つかないはず。しかも、連れてきた従者は全員がいつもと違っている』
ディアナの従者の十が来た事は尚更予想外のはず。
従者達の人形でさえもそっくりであれば、それをどう用意したのか。メアリは魔導具でない事を確認している。
「十が人形を持っているところを見ました。確か……」
『持っていた人形が自身に似ている物とは限らない。眼鏡のような物があったのが、彼と思わせるかもしれないか』
カイトはうろ覚えながらも、死神が人形の姿を記憶していた。十は眼鏡をかけていて、最初に人形を確認した際、レンズを付けた人形は確かにいた。
「眼鏡の装飾品を付けた人形でした。それを考えると本人に似せてるのかもしれません。彼も人形を気にした様子もありましたから」
『彼はあの後、三が戻ってきたのを見計らって外に出たのは、風呂へ向かったからだったな』
十は自身に似た人形を注視していたが、三が従者の部屋に戻った直後、次にシャワーへ向かった。三とは違って、時間はそこまで掛かっていない。その時には眼鏡を外していたが。
三と十はシャワーを浴びた後、すぐに眠りに入った。もしかしたら、七が一番初めにシャワーに行ったのかもしれない。
カイトもそれに習い、最後にシャワーへ向かい、寝たところで一日目が終わった。
メアリ達魔法使いは無防備になる事を恐れ、魔法で体を綺麗に出来るのだが、三回と限られる中、そのために魔法を使うかどうか。