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経験の差

「キス様、スミマセン!!」


 カイトが灰色の侵入者に対して、最初に取った行動。それは調合室で手に入れた瓶を投げつける事だった。


 侵入者対策に調合室で手に入れた物だが、効果は分かっていない。赤の侵入者との戦闘の際、使っていなかったが、隙を作るには十分な手段だ。


 だが、どのような効果があるのかは分からない。部屋の中に広がれば、キスにも影響を与える可能性が高い。


 侵入者は沈黙の毒に耐性があり、投げつけたのも意味がない事も考えられる。


 とはいえ、侵入者はその中身を把握していないはず。


「……ちっ!! こんな物で」


 侵入者は斧のように剣で落とすと思われたが、片方の手で掴み取った。


 瓶の中身を警戒したのか。侵入者のマスクは全ての毒から守る事は出来ない。


 だとしても、部屋全体に広がれば、侵入者の優位性は変わらないのだが。


『相手は戦闘に慣れているようだ。タイミングを遅らせてきたな』


 瓶を掴んだ直後、もう片方の手で前へ剣を振り下ろした。


 カイトが瓶を投げて、相手が剣で弾いた場合、その隙に体当たりをするつもりだと、侵入者は考えたのだろう。


 だからこそ、瓶を掴み、タイミングをずらすのを予想して、相手を見ずに振り下ろした。


 最初に体当たりをした事で、侵入者の頭にそれが過ったのかもしれない。


『それだけじゃない。投げた斧を拾わせないような、位置取りをしている。相手は君が懐に飛び込むか、斧を拾うしか手段がないと判断しているようだ』


 侵入者はカイトが飛び込んでこなかった事で、次の行動に移していた。斧を拾わせないような位置取りだけでなく、カイトの動きが見えているように、そこから刺突を打ってくる。


「言われてなければ、やられてました。赤の侵入者と同等か、それ以上ですよ」


 侵入者の刺突が来る直前、死神は近くにあって椅子を侵入者に向けて、蹴るように指示をした。


 その椅子によって、侵入者は後一歩踏み込む事が出来ず、僅かにカイトの体に届かなかった。


『そのようだな。先程の君の動きと同じようにすれば、こちらも手痛いはずなのだが……それをしないのは』


 侵入者はカイトが投げた瓶を掴んだのだが、それを投げ返す様子はなく、ポケットの中に入れた。


 部屋に毒が充満するのを避けるためとも考えられるが、カイトと同じ事をすれば、足を止める事も出来ただろう。


「なるほど。この部屋にある物を遮蔽物として使い、近付く腹か。だとすれば、こちらから行かせてもらうぞ」


 侵入者はカイトが椅子を利用した事で、完全ではないが、死神の考えた作戦を読んだ。これも戦闘経験の差なのか。


 侵入者は剣を無闇に振らず、圧をかけながら、カイトの逃げ場を狭めていく。

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