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四回

「アンタがそれを知る必要はないわ。私のする質問に答えればいいのよ」


 キスは灰色の侵入者に向けて、手を向ける。何時でも魔法を発動するという、脅しでもある。


「……一番許せないのは貴様だな。コイツと共に行動しているのもそうだが」


 侵入者はキスの脅しを屈する事なく、標的をキスに変え、殺意を向ける。


「質問に答える気も無さそうね。こっちはメアリと合流しないと駄目なの。悪いけど、さっさと」


 キスは詠唱を始めようとする。従者であれば、魔法使いがどう動くのかを把握している。


 侵入者もそれを阻止するべく、行動する。当然、カイトもそれが分かっているのだが。


 二人は後手に回ってしまう事になった。


「……!!」


「…………」


 声が出ない。灰色の侵入者は何かの袋を床に叩き落とし、粉と匂いが部屋に広がっていく。


 それによって一時的に沈黙状態に。調合室の中にあった物なのかもしれない。


 声が出せなければ、魔法を使えない。詠唱潰し……それがあれば、従者でも魔法使いを殺せる。


『偶然なのか。それとも、狙ってやったのか』


「それを考えている状況じゃないです。早くどうにかしないと」


 キスとカイトが後手に回った理由。


 それはカイトが持つ、鈴の魔導具が鳴ったからだ。


 メアリはカイト達の後に、悪魔学の本棚の鏡に入った。


 転移の時間は場所によっては、先にメアリが着いた可能性もある。とはいえ、たかが数分程度だろう。


 互いの場所を知るために鈴を鳴らす。


 それは事前に伝えていた事ではあるのだが、キスも一時的に動きが止まってしまった。


 だが、カイトは別の意味で焦る事になった。


 問題なのは鈴が鳴った回数。メアリやカイトが鈴を鳴らす場合、本人だと判断出来るように三回と回数を決めていた。


 それが四回鳴ったのだ。メアリが鈴の魔導具を使ったのではなく、別の誰かが鳴らした。


 しかも、その人物はメアリが鈴の魔導具を所持している事を知っていた。


 侵入者や館の主がそれを知るにしても、鈴の魔導具の話をしたのは、僅かな時間でしかなかったはず。


 何かの弾みで鳴ったとしても、それはメアリに危険が及んでいる証拠になる。


 キスとカイトを転移先で待ち構えていた侵入者がいた以上、メアリ側にいてもおかしくはない。


 灰色の侵入者もそうだが、メアリ達に見つからずにいるのは難しい。その人数が増えるのであれば、尚更だ。


 であれば、メアリが遭遇したのは侵入者ではなく、館の主である可能性はゼロではない。

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