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鏡内

「では……行きます!! メアリ様もお気を付けて」


 カイトは魔法学の鏡に足を踏み入れる。一歩踏み入れても、そこから強制的に吸い込まれる事はない。まだ引き返せす事は出来そうだ。


 だが、全身が入ると話は違ってくる。自分の意思とは関係なく、自動的に前へと進んでいく。


 勿論、魔法の膜で一体化となっている、キスも鏡の中に入った事を意味している。カイトが後ろを向いて確認せずとも、手を繋いでいる感覚が残ってる。


『キスはトンネルと言ったが、私としては水中を流れて行くように見えるな』


「ですね。人によっては感覚が違うのかもしれません。もしくは、魔法使いが別なんでしょうか」


 魔法使いは魔力がある分、余計な物も見えてしまうのか。


 カイトと死神の目に見えるのは透明な水色で、目的地に向かい、流れに身を任している感じのようだ。


 そして、鏡の中を転移している間も、カイトと死神との会話時は時が止まっている。


 キスと一体化していても、死神の声は彼女には届いていない。届いていれば、会話に割り込んできてもおかしくはない。


「貴女の場所に導かれる時もそうですし、花瓶に吸い込まれる時も認識する事が出来なかったので……神秘的です」


 カイトは転移による移動時間、神秘的な光景に感動を覚えている。それまでは意識が無くなるばかりで、その時の光景が分かっていなかった。


『そう思えるのも一瞬だ。転移先……出口の光景が君には見えているか?』


 転移先の場所。魔法使いであるキスでさえ、先を見る事は出来ないと言っていた。


 従者と魔法使い使いの感覚が違うのであれば、死神の目でなくとも、覗き込む事が可能なのか。


「……流石に無理です。出口らしき、黒い穴が見えるだけで、どんな場所なのかは」


 カイトに見えているのは黒い穴。それも鏡と同じ形であり、そこが出口なのだと思わせる。


 キスの場合は逆の可能性もある。転移がトンネル移動と感じるなら、出口は暗闇の中の光。それが眩しくて、先が見えなくなっているのかもしれない。


「死神の目でも先の場所を見るのは出来ませんか?」


『見えている。転移先は関係なく、彼女の言葉通りになるぞ』


「彼女の言葉通り……まさか!!」


 死神が言う『彼女の言葉通り』とは何か。カイトが思い当たるのは一つしかない。


 零が言った『御武運を』という言葉だ。場所も重要だが、それが関係ないのであれば、死神が見たのは……


『何者かが待ち構えている。それも剣を振り下ろそうとした状態でだ。私達が出てきた時を狙おうとしているのかもしれない』

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