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体感

「だとすれば……十は自分で鏡の中へ入ったんですか? どうして……」


『そこまでは分からないが……三、七は主とは関係なく、怪しい行動を取っていた。十もそうだった……とも考える事も出来る』


 十は鏡の魔導具の効果が転移すると知っていた事になる。それだけでなく、主の指示も待たなかった。


 そうでもしなければ、転移に警戒して、十を鏡の先に行かせなかった可能性はある。


「……十の人形は一番最初に発見されてました。しかも、ナイフが刺さった状態で」


 従者は替えのきく道具ではあるのだが、この場では一人しかいない。食堂で見つかった人形の件もある。最初から無茶な行動は出来るだけ避けるとも考える事も。


 それをさせないために、十を鏡に吸い込まれるフリをしたのだろうか。


 しかし、彼の場合、館の主や零が協力を申し出る時間はあったのか。侵入者相手でもそうだ。


 この館に来る以前から共犯でなければ、ならなくなる。


 勿論、そこまで時間を巻き戻すのは不可能。情報を得ようにも、彼等はすでに死んでいる。


 記憶の本も本来の名前が分からない以上、死神も見つける事が難しいのだ。


「終わったわ。先に壱が入って。途中で魔法が切れる事はないと思うけど……一応ね」


 キスは魔法の詠唱を終え、二人は薄い膜のようは物で覆われ、腕の繋がりで一体化している。


 もし、キスが先に入り、転移先に魔力遮断が施されていたら、カイトは鏡の中でどうなるかも分からない。


 鏡の魔導具が置いてあるのだから、その心配も杞憂ではあるだろうが。


「分かりました。転移する際、どんな感じなのでしょうか? 気を付ける事はあるのでしょうか? 花瓶の魔導具に閉じ込められた時、気を失ってしまって……」


 花瓶の魔導具に吸い込まれた時、カイトは気を失った。魔力を一気に吸い取られた事もあるのだろうが、体外から受ける魔力に慣れてないからとも取れる。


「……そういう事。問題ないわ。今、アンタは私の魔法の膜に覆われてるのよ。魔導具の魔力で意識を失うわけがないの」


 キスとカイトを覆っている膜は、鏡の魔導具よりも魔力が高く、カイトに影響を与えないようになっているようだ。


「体感としては一分……長くても数分程度。暗闇のトンネルを走り抜ける感じよ。先の光は分かるけど、場所までは見えないわね。……もしかしたら、壱の目は違っているかもしれないけど」


 キスは転移先の危険かどうかを、カイトを先頭にして、目で見る事が出来るのかを期待している面もあるのだろう。


「……分かりました。鏡に入るなり、試してみます」


 数分程度の移動時間で、危険を察知出来るかどうかは、死神の目に掛かっているようだ。

 

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