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「でしたら、私とあの絵が似ているだけで、別段意味があるとは思えません。あの絵の人物が私の親でもありませんから」


 メアリ自身、捨てられた時の事を記憶している。あの絵の人物が実の親ではない事も分かっている。


 その人物はいなくなり、子供に継承させるつもりであれば、キス達を呼ぶ必要はない。彼女もそう言っていた。


「その可能性もあったわね。けど、私が考えているのは別だわ」


 キスはメアリの親がそうであると想像はしていなかった。メアリ自身がそれを否定しているのだから、同じ事ではあるが。


「それだったら余計に」


「生贄の話をしたわよね。館の主は大事な物を呼び出すために儀式をしようとしているんじゃないかって」


「……はい。ディアナ様や従者達が殺された理由もそれだと、キス様は考えているのですよね。その話は手記を見つけてから」


 館の主を信用するか否か。これは館の主が書いたであろう手記を見つけた後、二人で決めるはずであり、この話は保留する事にしていた。


「思い出した事があるのよ。これがメアリを候補者に選んだ理由かもしれないってね」


 メアリが候補者に選ばれた理由。混血はそれではなく、あの肖像画とメアリが似ているのが、それだというのか。


「儀式にも色々あって、生贄が必要と言ったけど、もう一つ必要な物がある。それは呼び出す相手に体がすでに無く、魂だけだった場合。この世界に存在するための器、依代いると悪魔学の本にそれらしき事が書かれていたわ。絵から予想した事でもあるけど」


 キスは自室で悪魔学の本を調べていた。解読を進める中、儀式内容を見つけ、挿絵から予想したのだろう。


「その絵は魂と体の姿は似ていた。より近い存在出なければ、無理。混血という特殊な体も良いと判断したかもしれないわ」


「つまり……私は生贄ではなく、中にいれるための器かもしれないと」


「可能性があるという話よ。勿論、手記を見てから判断するべきなんだけど、何が起きるかも分からないから」


 七が殺された事により、館内も安全では無くなった。情報を共有するのであれば、先に伝えておくべきだと、キスも判断したようだ。


「……分かりました。心に留めておきます」


 メアリはキスの言葉を否定せず、頷いた。納得出来る面があったのだろう。


『なるほどな。彼女の考えが合っていれば、メアリが最後まで残っていた理由が分かる』


「……そうですね。最後になったのは偶然ではなく、必然になります」

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