設置した人物
『二十時前まで人形は無かったはずが、次に来た時にはクローゼットの中に。他のベッドから移動されたのかは確認してはいない』
一度目の来訪時は黒のベッド横にあるクローゼットの中に人形は無かった。それはカイトが確認している。
二度目の時にあった事に関しては二つの可能性がある。他の七つあるクローゼットの中から誰かが移動させた。
これは部屋内のクローゼットを確認すれば、すぐに分かる事なのだが、メアリがいる今は調べる事は出来ない。それは他の従者がいても同じ。
もう一つ。誰かがもう一つ人形を追加した。来訪した人数を考えれば、こちらの説が有力だろう。
カイトが来た事により、人形を一つ追加した。それをしたのは誰か。
『零と思うのが自然だな。今回の謎解きのために従者の部屋に人形を置いたわけだ。だが、追加の人形を置く時間はあったのか』
時間は勿論ある。食事と説明が終わり、メアリ達が其々の部屋に戻った後。食堂から従者の部屋までは近い事もあり、十や七、三が部屋に来るまでに人形を置く事は可能だ。
とはいえ、食堂や調理場にそれらしき人形は置いてあったのか。
カイトが見た限り、それらしき物は無かった。そんな物があれば目に付くはず。
従者の部屋=零の部屋であるはず。別の部屋に予備が用意されていたのか。
零が人形を置いたのではない可能性も僅かながらにあり、考えられる人物は二人。
一人目はアルカイズの従者である三だ。彼女がカイトや十、七よりも先にこの部屋に入ったはずであり、人形を置く時間はあった。
だが、彼女はカイトが来ている事を知っていたのだから、人形を後から追加するのはおかしい。最初から設置するはずだ。
アルカイズの指示だとしても、そんなミスをする従者を選ばないだろう。
カイトが人形が増えている事に驚いた時も、三は全く気にした様子はなかった。その直後、部屋の外に出たが、それはシャワーを浴びに行っていただけ。
魔法使いと従者とは別に浴室は用意されているのは地図で表示されている。三は十分過ぎぐらいで、軽く髪が濡れた状態で戻ってきた。そこでも変わった様子はなかった。
従者にはポーカーフェイス、表情を変えない事も必要とされ、三の心情は分からない。
『君も三の事はそこまで疑ってないか。思い浮かべたのは彼か。館の主であるゴールド=ゴール。彼は隠れた場所から移動しないという話だったが』
継承権の資格を得るためには館の魔法使いであり、主のゴールド=ゴールを見つける事。
零曰く、彼は隠れた場所から移動しない。試練のために移動出来ないと考えてもいいだろう。
だが、それは零が言っているだけ。彼が仕掛けのために行動してる可能性はゼロではない。
時間の猶予が一番あったのはゴールド=ゴールなのだから。
カイト達が食事をしている間、従者の部屋に忍び込めるはず。
もしかしたら、地下から従者の部屋に入った可能性もあるのではないか。