確認
「……それは混血と関係してますか?」
ピアノ室にあった絵ではなく、メアリと館の主の共通点は魔法使いと従者の混血である事。
絵画室にある肖像画の彼女も混血なのか。
彼女が館の主と二度会った際、姿は何も変わってなかったとされている。
キスは彼女が神か悪魔の部類であり、ディアナ達を生贄にして、館の主は再会しようとしているのではないかと考えていたはず。
彼女が混血の魔法使いであった場合、混血は短命であり、すでに亡くなっているはず。
独自の魔法で生き続けているのであれば、それは回復魔法を越えて、不老不死の魔法になりかねない。
「あるのかもしれないわね。その答えはもう一度見てから言うわ」
「……私達もついて行っても」
「構わないわ。その方が分かりやすいし。アンタもついて来なさい。謎解きをするわけじゃないから」
「分かりました。先に入ればいいんですよね」
メアリもキスが何を調べるのかが気になり、同行する事に。そこにキスは零も加える。
念の為、絵画室へ先に入るのを、彼女にさせたいのだろう。
零もそれが分かったのだろう。何の躊躇いもなく、回転する絵を押して、絵画室の中へ。
ピアノ室の謎が解かれ、七の自室に鍵も置かれていた状態。
そんな状況下で、警戒もせずに中に入るのは、何のない事を把握しているのか。
キスやメアリもそれについて何も言わないのは、単なる気にし過ぎているだけなのか。
少しの間を置いて、キスとメアリ、カイトの順に入っていく。
「……僕達が最後に入った時と変化はなさそうです」
最後にこの部屋へ入ったのはカイトと七。アルカイズの死体をディアナの部屋へ運んだ時だ。
罠もなければ、誰かの人形が置かれているわけでもない。ピアノ室のように絵が置き換えられている事もなさそうである。
「謎解きの絵は当然として、他も変化はなさそうですが」
メアリも絵の変化を気にしていた。謎解きの絵が替えられる事はないだろう。
だが、キスはその絵をジッと見つめている。その絵の表情が変化、目が動く事もない。
カイトは肖像画から視線を一度感じた事もあったが、それもない。キスも気付いていたのなら、口に出しているはずだ。
『……なるほど。そういう事か。そう思いたくないのか』
死神は何かに気付いたようだ。
「もういいわ。廊下に出るわよ」
キスは肖像画から目を離し、メアリと顔を合わせてから、廊下へ出る事を告げる。
カイトとメアリは何も気付かないまま、廊下へ出される事に。