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ピアノ室

「……開いているわね。これはどういう事かしら」


 カイト達はピアノ室前に着く。


 当然、部屋前に立つのはキス。この部屋の謎解きをするのは、鍵を所持していた彼女。従者である七がおらず、ドアも自身で開けなければならない。


 キスはピアノ室を出入りしていたわけだが、その鍵が一度は手から離れた以上、部屋の中に罠を設置された可能性はある。


 もう一度鍵を使うにも警戒が必要。キスが着けているマントが先程と違っていて、今は帽子も被っている。


 身代わりがいないのだから、自分の身に降り掛かる攻撃を防ぐため、万全の状態にしたのだろう。


「キス様が出る時、鍵はしたわけですよね」


「当然よ。七が締めてるのを私も確認しているわ。謎解きを解けば開放するけど、途中だったわけだし」


 ピアノ室の鍵は掛かっていた。であるのに、開放されている。


 これが意味する事は簡単だ。誰かが鍵を使用して、中に入った。だが、何のために。


 罠を仕掛けるにしても、鍵はしておくべきだろう。部屋が開いた状態では、侵入を教えているようなものだ。


「中を見ないと分からないわね。罠があると予想してたわけだし……ドアを開けるわよ」


 キスは意を決して、マントで身を守りながら、ドアを開けた。


 従者の燕尾服の加護は主の魔力か生成されているのだから、自身の服、マントにも防壁は展開される。罠による死を警戒しての事だ。


「……何も起きないわね。けど、明らかに違ってるわ」


 キスがドアを開けても何か起きなかったが、中の変化に一歩踏み入れた……だけでなく、ズカズカと進んでいく。


 ピアノ室内部を知っているのはキスのみ。メアリとカイトは確認出来ていない。


 零に関しても、キス達が謎解きで、ピアノ室に何かをしていれば、それを知る事は無理だったはず。


 変化に気付けるのはキスだけなのだ。


「……入っても大丈夫そうですが、どういう事なんですか? 私や壱には何も分からなくて」


 メアリとカイトもピアノ室の中へ。勿論、カイトがメアリを守りながら、先に入る。


 ピアノ室で印象が残るのは中央に置いてある黒光りする綺麗なピアノのだろう。


 キスが音楽室ではなく、ピアノ室と呼んだのも頷ける。


 バイオリンやフルーツ等の楽器も壁に飾られていて、棚も複数置いてある。楽譜等、音楽に必要な道具が入っているのだろう。


 他にあるのは絵だ。この館には窓がないため、ピアノ室にも絵が数枚置かれている。


 彼女はその中の一枚の絵の前に立った。その絵だけが、風景画ではなく、人物画のようだ。

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