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燕尾服

「はい。キス様が七を殺す理由はありません。彼が裏切った場合は別かもしれませんが、それをメアリ様に隠す理由も見つかりません」


 キス自身が七を殺して、加護を無くす。謎解きをするにあたり、命約を断つのはない。


 裏切ったとしても、捕縛するだけに留めるはずだ。殺してしまえば、命約による身代わりにも使えない。


 彼女がメアリを連れて、彼を捜索したのも演技ではない。それはメアリだけではなく、カイトも分かった。


『疑問なのだが、燕尾服の加護はどうやって発動する? 主の魔力である事は分かるのだが、他の者が着て、使えるわけではないのだろ?』


「そうですね。主と命約を結んだ者のみが、加護の効果を発揮出来るはずです。僕とメアリ様の場合、従者が僕しかいないのもあって、僕に合わせて作られてます。館の主の従者も彼女一人になったのなら、零専用してるのではないでしょうか」


 加護は特定の者が装備しなければ、効果は発動しない。メアリはカイトのみ。キス達のような魔法使いは命約を結んだ従者達。


 それ以外の者が身に着けても加護の効果はない。


『従者が加護の燕尾服を脱いだ場合、少しの間は魔力が宿ったままなのか?』


 自分の身を守るための燕尾服を、七が脱ぐとは思えないが、命約と燕尾服の魔力が切れたタイミングは同じだったのか。


「脱いだ時点で魔力は消えます。従者の命約から魔力を借りる形だったはずです。ですが、例外もあると思います」


 それは十が殺された時の事を言っているのだろう。命約が切れながらも、ディアナは燕尾服に宿る加護、自身の魔力を辿ったのだから。


 これに関して、侵入者が十をナイフで刺した時、加護を貫通したわけだが、その時に対抗した魔力が残っていた可能性がある。


 そこにも問題が一つ。ここも十の死体が消失している事だ。


『そうだな。メアリのように、カイトだけに対する加護が出来るんだ。特殊な加護も、魔力のやり方使い方もありそうではあるが……』


 メアリがカイト専用に燕尾服を作ったのも例外に加えていいだろう。命約による魔力が燕尾服にいかないのだ。


 燕尾服に直接魔力を送り込む必要がある。その他に、カイト自身だと判断させるため、血や肉体も関係している可能性もある。


『服の構造も変えているか。ポケットの場所や、数もそうだ。能力的に関しては同じだとすれば……』


 死神は従者の燕尾服に対して、頭の中を整理しているのか、自然と独り言のように呟いている。


 燕尾服の構造の違いは、零の服から考えられる事だ。


 零と赤の侵入者の戦闘。彼女は燕尾服の袖口からナイフを飛ばしていた。それも左右だけでなく、ズボンの方も。裏側に内ポケットでもあったのだろう。


 ナイフも一本だけでなく、複数入っていた。そちらのポケットも大きさを問わず、物を入れる事が出来た可能性が高い。


 それも戦闘で全てを使い果たし、ポケットの中は空の状態にはなっていた。


 他の物を入れる事が出来るスペースがあった事になる。

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