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赤の燕尾服

「……変わったところはないわね」


 一目見ただけでは、客室に変化はなかった。キス達魔法使いの部屋を空けるため、その分の家具が置かれた状態。魔法使いの部屋よりも狭く感じるのは仕方がない。


 その分、廊下からでは見えない死角となる箇所もあるのは確かだが、死体があれば、そこには気付くだろう。


 ただ、人が隠れるスペースはある。そこに死体が隠されている可能性もあるが……


「魔力は……感じられないですね。人が隠れるにしても……館の主がそんな事をするでしょうか」


 気配遮断の魔法も注視されれば意味がない。下手に隠れたところで、見つかってしまうのは明らかだ。余程の場所でなければ、見つかるのを回避するのは無理だろう。


 それだったら、堂々としていた方が魔法使いの威厳が保たれる。


「……入りますね」


 零が部屋に一歩踏み入れる。一番危険なのは最初の一歩。侵入する事で反応する魔導具もある。


 魔力を注入されてなかったが、庭にある像がその一つだろう。


「大丈夫そうです。まずは奥に行きますね」


 部屋の奥側は廊下から死角に箇所がある。零はその確認に向かう。


 その間に何も起きなければ、キス達も中に入りやすくなる。


 鍵が解かれていた以上、彼女達も気になるはずだ。


「何もないと七が一度戻ってきて、鍵をし忘れたのかもしれませ……」


 何もなければ、七が鍵をするのを忘れただけになるのだが、零は何かを発見したようだ。途中で口が止まってしまった。


 彼女は奥に置かれたテーブルに手を伸ばした。何を手にしたのかは、彼女が壁になっていて確認出来ない。


「これは……七が着ていた服だと思うのですが」


 零がキス達の方に振り返り、拾った物をキスに見せた。


 それは赤の燕尾服であり、衣装室にあった物ではなく、七が着ていた燕尾服だ。


「その通りね。私が七に着せていた服よ。この服から加護がすでに消えてるわ。けど、この部屋で殺された事はないはずよ」


 キスは零に手を差し出したのは、七の燕尾服を受け取るため。零もそれを彼女に渡した。


 命約もそうだが、加護の魔力が消えれば、隣の部屋で七が殺された場合、彼女が気付かないわけがない。


 この部屋に服だけが持ち込まれた可能性が高い。


「当然、加護は無くなってるわね。けど、破れた箇所なんかはなさそうよ」


 七が誰かに襲われた時、加護を貫通して攻撃されたのかもしれないが、その服に何かされた跡は残されていないようだ。


 服以外の箇所を攻撃されて、殺されたのか。


 三の死体とされる物がそうだった。加護ありの服を着ていたが、首を落とされたのだから。

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