幕間 ー1ー
☆
「一日目が終了したか。彼の参戦で、本来の出来事とは少し違っているようだな。だが、結末が変わるまでには至ってない。二日目から本格的な動きを見せる。それがどう変化するか。犯人は変わる事はないが、この場から退場する人物はどうなるか」
カイトのいる世界、彼等の記憶から造られた擬似的世界の一日目が終了した。これに関してはカイトが就寝時にカウントされる。
その際、死神は擬似的世界の本を一度閉じた。閉じた事で死神とカイトの繋がりも中断となる。
再度、死神が本を開く時にカイトが目を覚まし、二日目に進む事になるわけだ。
「彼の視点だけで進むのも楽しいが、少しは復習していても問題ないだろう。前回とどう変化するのかも知っておきたい」
死神は擬似的世界作成に使用したメアリ、キス、ディアナ、アルカイズの記憶を取り出す。
魔法使い達はすでに亡くなっている。そして、誰が犯人なのかも分かっていない。
一日目の零の説明から、謎解きの失敗による事故の可能性が高い。
全員ではないが、失敗による死亡者は存在するだろう。それは魔法使いではなく、従者が死を被る事になる。
魔法使いの失敗による死は命約により、従者に襲い掛かるからだ。
だからといって、従者が死ぬ事は明記されてない。メアリは別として、ディアナ達にとっては従者は物扱いなのだろう。
「本来ならば、最初に消えるのはディアナだ」
ディアナだけの記憶だけでは分からないが、メアリ達の記憶に当て嵌めると、最初に死んだのはディアナとなっている。
優秀な従者である十がいたにも関わらず、誰よりも早くに退場しているのだ。
ただ、魔法使いの中での最初なだけで、従者は数に入っていない。先に従者全員が亡くなっている可能性はあり、確実なのは十が先に死んでいる事。
「そして、アルカイズ、キスが消えていく。最後にいなくなったのがメアリ。その事を彼はまだ知らず、館の主であるゴールド=ゴールに会ったのか……そこまでは書かれていない」
あの館で最後まで残ったのはメアリ。従者なしの状態のはずが、命約があったディアナ達の方が先に死んでいる。
それは彼女の立ち回りが上手かったのか。もしくは、彼女を最後まで残した理由があったのか。
カイトは想像したくないかもしれないが、他の魔法使いを殺したのは彼女だった可能性もある。
ただ、魔法使い同士の争いは禁止されてはいるのだが。
地下の問題もある。行き方が地図に記されてない以上、誰かに連れて行かれたと考えられる。
連れて行かれたのはメアリであった場合、誰に拐われたのか? 館の魔法使いの事も分かっていない。
カイトが参加した事によって、彼女の行動は大幅に変更になるのは予想出来る。
「私も推理を楽しみたいからな。予想外の出来事が起こる方が面白い。とはいえ、下手に亡くなってくれるなよ」
死神は血の色のように濃い紅茶を用意して、一口啜る。そして、擬似的世界に取り出したメアリ達の本を重ね合わせ、二日目となるページを開いた。