見た目
「そういうわけではないです。ただ……メアリ様達もそこは気にならないのですか? 別に判断する方法があるのかもしれませんが」
メアリは共感の魔法により、館の主の素性を知り、ある程度の性格、従者に対する優しさを知った。
だが、ある一点に対しては何も尋ねていない。一番重要な事ではないだろうか。
ある程度の範囲での協力を、零は口にしている。死神はそれに対して、ある質問をカイトにさせたのだ。
「館の主の見た目を教えてくれませんか?」
メアリ達は試練として、館の主を見つけなければならない。それによって、魔法の継承者になれる。
零も主の居場所も知らない。移動せず、とある場所で待っているという話だったが、それも今では嘘だという疑いがある。
「零が側にいたら大丈夫かもしれませんが、僕達だけだったら、侵入者と間違える可能性もあります」
ゴールド=ゴールと侵入者を勘違いする可能性。侵入者は燕尾服とマスクで変装していた。
魔法使いの姿だった場合、間違って攻撃してしまうかもしれない。その逆もありえる。
零の着る燕尾服の色によって、ゴールド=ゴールの魔法使いの色は知る事は出来るのだから。
メアリとキスが見た目を聞かないのも、色で判断する可能性は十分ある。
魔法使いは自身の色を変える事はしない。そう考えているなら、相手の思う壺になるだろう。
侵入者である魔法使いは、従者の服を着るぐらいである。
「零は主と会っていたのだから、分かりますよね? 最初から顔を隠しているとかなら、外に出た時も侵入者がそれだと怪しむと思います」
『ゴールド=ゴール本人の自画像はあるが、館の主の絵はどの部屋にも無かったからな」
その代わりに館の主にとっての大事な人の写真を飾っている始末。彼女が館の主でない事は、零も口にしていた。
「……分かりました。私が側にいなければ、間違える事があるかもしれないですからね」
「ありがとうございます!!」
零は拒否する可能性もあったが、素直に答えてくれるようだ。居場所を教えるわけでもないのだから、当然といえば当然だ。主の命を狙っているわけでもない。
「簡単な説明になるんですけど、性別は男。年齢はアルカイズ様よりも上。背も高く、細身の体です。運動が苦手で、侵入者のように素早く動けませんね。これぐらいでいいですか?」
「大丈夫です。想像していた通りだったので。メアリ様達もそう思ってるかもしれません」
余命が短い事で、年寄りなのは分かる。
魔法使いという事も合わさり、体もあまり動けない。外でカイト達を襲った侵入者ではない。黒の侵入者でも素早く逃げていた。
性別が男である事。それは零を従者にしている事でも窺える。
ディアナが十、キスが七、アルカイズの三。メアリがカイトと。主と従者は性別が逆になっているのが多い。
勿論、同性もいるだろうが、大事な時には別にしている。これはゴールド=ゴールにも当て嵌まるのではないだろうか。




