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告白

「私も主を信じたい反面、殺されそうにもなりましたから、判断は難しいです。キス様が疑うのも無理はありません。侵入者が館に入れない状況で、彼の姿が消えて、命約も途切れたわけですから」


 メアリとキスは協力関係にある。意見の食い違いは起こる事だが、互いが何処かで妥協しなければならない。


 キスに起きた事を考えれば、疑うのは館の主以外にない。キスとメアリの立場が逆であれば、彼女も館の主を疑っただろう。


「私が下手に主の事を話をしてしまった事で、拗れるのは忍びないです」


 零だけが原因ではない。メアリの共感魔法が自動的に発動してしまったためだ。


 それは彼女自身も分かっている。折れるとすれば、メアリの方になるのだが。


「主は手記を見つけるのはどうでしょうか? 私は一度見た事があります。それを確認したうえで判断しては? 書斎にあったのですが、何処かに隠されている可能性もありますが」


『……ゴールド=ゴールの手記がある事をメアリ達に言うのか。立場逆転の事を知れば、流石にメアリも庇う事は無理になるだろうが』


 手記が見つかれば、その情報はキス達に知られる事になる。


 零もその中身の一部しか知らないのであれば、下手に伝える事は厳しいはず。彼女達が直接見た方が問題にならない。


「手記ですか? 確かに大事な事であれば、書き残しているかもしれませんね。それを読んでから判断します」


「……私の考えを押し付けるつもりはなかったんだけど、メアリの言う通りね。それでお互いに考えをまとめるわよ」


「すみません」

「ごめんなさい」


 メアリとキスは互いに頭を下げた。協力関係を継続するためにも必要な事だろう。


 メアリだけでなく、キスが頭を下げたのはそういう事だ。


「意見の言い合いは必要ね。隠したり、溜め込むよりは全然いいわ。この状況では頭を下げるのも厭わないし」


 キスは率直な意見を言い、溜め込む事はなさそうなのだが、メアリに対しての言葉だろう。


「そうですね。少しでも気になる事が出来たら伝えます」


「……それは壱、零にも言えるわ。気になる事があったら、すぐに言いなさいよ」


「壱も私にだけ伝える事はせず、その場で意見を言ってください。許可を取る必要はありません」


 キスは主、従者の立場関係なく、気になる事はすぐに伝えるように指示した。


 メアリもそれに賛同する。


「分かりました。出来る限りは協力します」


 零はそれを承諾するが、出来る限りに留まる。館の主の居場所は知らず、連絡方法も伝えないという事だろう。


 当然、謎解きの答えを教える事も出来ないだろう。それをすれば、不正扱いで継承権を剥奪にもなりかねない。

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