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首謀者

『……やるな』


 死神は感嘆の言葉を呟いた。キスが魔物から、神や悪魔が存在するという展開に持ち込んだ事になのか。


「侵入者がそれに協力しているという事であれば、その相手に攻撃を許可するでしょうか? 成功するためにも、そこも禁止するべきだと思います」


 零が疑問を口にする。侵入者がいた場合、館の主は攻撃する事を許可したが、禁止された方が都合が良いはず。試練と言えば、メアリ達も納得せざるを得なかっただろう。


「ふん……こうも考えられるでしょ。侵入者も利用されてるのよ。奴等も生贄に含まれてるのなら、話は変わるわ。私達が侵入者を殺しても問題ないはずよ」


 魔法使いと従者を殺す事に意味があるのなら、メアリ達でなくとも、侵入者でも条件は合う。


「……それは仮定の話ですよね。その人物は継承する時に現れるのかもしれませんし」


 メアリはキスに弱々しくも反論する。零の話を聞く限り、従者達に優しく接する人物だと感じているのだろう。


 そんな人物が魔法使いだけでなく、従者を巻き込んで、非道な事をするのか。


「そうね。それも否定出来ないわね。館の主の死ぬ間際に来る事も考えられるけど……疑ってかかるべきよ。壱やコイツが侵入者に狙われる事になったのも、ゴールド=ゴールが見回りを指示したからよ」


 零が言う、館の主は従者に優しかったかもしれないが、死ぬ間際ともなれば、自身の欲望に忠実になってもおかしくはない。


 それに加えて、長年連れ添った従者でもないわけだ。零やカイト達従者は該当しない可能性もある。


「……分かりました。気には留めておきますが、それでも信じたい気持ちの方が強いです。回復魔法が使えるのも、その魔法使いの人柄も関係あるかもしれませんし」


 メアリは館の主を完全に疑う事はしないようだ。ゴールド=ゴールが持つ回復魔法こそが、誰かを救うための魔法であるからだ。


『……それ自体が嘘である可能性もあるがな』


 魔法使いと従者の間で出来た子供は、特殊な魔法を覚えるとしても、回復魔法とは限らない。


 招待状にそう書かれていただけで、誰も目にしていない。メアリ達を呼び付けるための嘘とも考える事も出来る。


『君はキスの話を聞いて、どう思った。犯人……首謀者が館の主と感じたか?』


 今は一週間の継承権争いで、四日目という折り返し地点。この時点で、残っているのはメアリとキス、カイトの三人しかいない。館の主と零を含めても五人。


 侵入者だけが起こした殺人にしては不明な点が多すぎる。中にいる誰かしらの協力は必要となる場面はあった。


 となれば、館の主が怪しくなってくる。


「僕もメアリ様より、キス様の考えを推します」

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