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変わらぬ姿

「話を戻しますね。主は生き残った事だけではなく、助けてくれた人物がいたそうです。その人がきっかけで魔法使いに目覚めただけでなく、色々と知識を得たと。これらは先輩の従者から聞きました」


「目覚めたきっかけではないですが、助けてくれた人は私にもいました。その人が私を一人前の魔法使いにしてくれて……師匠のような存在です。すでに亡くなってしまいましたが……」


 メアリが出会ったのは魔法使いの師匠みたいなものだろう。彼女の境遇を知りながら、弟子するのは奇特な魔法使いだったのかもしれない。


「メアリ様が僕と会う前の話です。詳しくは教えて貰えてなくて」


 メアリもカイトにそこまでの話をしてなかったようだ。ただ、アルザスが受け継いだ魔法使いの名という事は教えて貰ってはいるらしい。


『彼女の事は置いておこう。今は館の主が会った人物が誰かだ。メアリのように師匠となる人物なのか……それとも』


 死神はその先の言葉を閉ざした。ゴールド=ゴールを助けたのが魔法使いであれば、その人物が侵入者となり得ると考えているだろうか。


「それはメアリ同様、アンタの主も稀有な魔法使いの師匠と出会ったわけ? ゴールド=ゴールの名を名乗るのも、その血筋の魔法使いだったから」


 この館にゴールド=ゴールドの絵があったという事、師匠が名前を引き継ぎ、現在が今の館の主になっているのかもしれない。


「違います。確かに主も師匠と呼ぶ存在がいて、この館も引き継いだらしいですが、助けたのは師匠ではなかったようです」


「それって……絵画室にあった肖像画の人ですか?」


 絵画室にあった肖像画が館の主にとって大事な人物だと、零は言っていたはず。


 以前の主は関係ないのであれば、その絵は追加されたのだろう。


「そうだと思いますよ。主は彼女と時を経て、二度会えたそうです。その時、主が見たのは前と変わらない彼女の姿に本当の魔法使い……神、悪魔とも思ったそうです」


 肖像画の人物は年が経っても姿が同じ。変身魔法の類ではないのか。だが、神秘的な要素があったからこそ、館の主も彼女の事を神や悪魔であると感じたのだろう。その結果があの書斎なのかもしれない。


「神とか悪魔とか予想外の言葉が出てきたわね。そこまで感じたのなら、その人物の弟子になろうとしなかったわけ?」


 そんな風に思うのなら、その人物の弟子にならなかった方が驚く。館の主を助けた時点で、偏見を持つ相手ではないと分かるはず。


「そこまでは私も聞いてなくて」


 零もそこまでは聞いてないようだ。先輩従者が虚飾している可能性もある。それをどこまで信じていいのかどうか。

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