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談笑


「起きなさい!! アンタは私よりも先に目覚めるべきでしょ」


「痛っ……メアリ様……ではなく、キス様!? 申し訳ありません」


 キスの方が先に目覚めた事もあり、彼女はカイトを蹴り、彼は椅子から転がり落ちた。


「ふん!! 寝惚ける余裕があるぐらいには回復してるようね。けど、呆けるのはここまでよ。従者はアンタしかいないんだから」


 従者は主よりも先に起きなければならない。二日目でも、メアリがカイトを起こす形になる失敗を犯している。


 主でなくとも、魔法使いより先に起きるのは当然。この状況では尚更だ。


 彼女はカイトに嫌がらせをしたわけではなく、注意や警告つもりなのだろう。


「キス様、大丈夫ですか? 零が目覚めのお茶を入れに行きましたから」


 メアリもキスが目覚めた事に気付き、彼女を気遣う。カイトが床に転がっている事に関しては目を瞑っている。


 彼女の声がメアリにも聞こえていたからだろう。


「ありがとう。私が寝ている間、アイツに何もされてなかったようね。主に裏切られたようなものだから、当然かもしれないけど」


 キスも零の前で無防備になるのを躊躇したが、メアリが側にいる事もあるが、零も侵入者に襲われ、主に対して疑うような言葉を投げた事により、眠りに入れたわけだ。


 カイトはキス以上にメアリの心配をしていたが、杞憂に終わっている。


 カイトやキスが無事にいる事自体が、何も起きなかった証拠でもある。


「はい。彼女と会話を楽しんでました。この状況化ですが、重い空気になるよりかは良かったので」


 カイトとキスの二人が目覚めるまでの三時間。メアリは調べ物をするよりも、零との会話を選んだようだ。


 調べ物で周りが見えなくなるのは、メアリ自身も自覚している事もあるのだろう。


 零から目を離した隙に、何が起きるかも分からない事も考えられる。


 メアリをどうこうするのではなく、彼女も七のように姿を消してしまうのではないかと不安な面があったはず。


「……はっ? 休ませてもらったんだから、文句は言えないけどね。楽しい会話って……そんな話題があったわけ? アイツに壱の自慢話でもしてたとか?」


 キスは魔法使いと従者が談笑している事が想像出来ないようだ。あったとしても、自身の従者とのみ。


 結局は自身の自慢話をしているのが関の山だ。メアリの場合、自分よりもカイトを話題にしていると踏んだようだが。


「ち、違います!! 壱が優秀ですが、自慢話を他の人に聞かせるような事はしません。……少しはしたかもですが」


 メアリは慌てて否定しているが、カイトとしては少し恥ずかしい気持ちになる。

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