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反転


「なるほどね。壱に何が起きたかは分かったわ。それに七が関与している可能性が高い事もね」


「……そうですね。それはキス様の事を思ってなのかは判断が難しいですが。それでも……」


「キス様の継承権は消えてませんね。七の行為は壱を罠に嵌めたとみなされてないかと」


 カイトの話を聞く限り、キスやメアリは七が壱を罠に嵌めたと考えたが、零はそれを否定した。結果的にそうなったというべきか。


 従者同士の争いは禁止されており、主にも継承権剥奪という被害が及ぶ。それがないのであれば、七の行動は争いに入らないという事だ。


「……ふん。それでも怪しい行動を取っていた事には変わらないわ。勿論、壱の言葉通りであったらだけど」


「それを証明する物がありますからね。一枚でもあれば、証拠になりますから」


 メアリが言う、七が取った怪しい行動とは何か。カイトを花瓶に閉じ込めたのは、その一つに過ぎない。それが偶然という可能性はあるのだが。


 大時計に隠されていた魔導具の説明が書かれた紙束が無くなっていたのだ。それを知っているのはカイトと七のみ。


 零もその場所を知っていてもおかしくないが、隠す必要はないはず。


「花瓶の魔導具とそれを説明した紙でしょ。私やメアリは読めるでしょうけど、アンタ達は無理だったわけよね?」


「はい。僕は全くでした。彼もそのような感じではありましたが……」


「発動方法を知ってたわけでしょ。本来の使い方じゃないからね。反転された上に、別の要素も入れてるから。全部が書かれてるわけじゃないのよ」


 食堂のテーブルの上には花瓶の魔導具と説明された紙が置いてある。


 カイトは花瓶の魔導具を見つけるため、その分の紙だけは所持していた。これに関しては七も許可をしていた。


 花瓶に閉じ込めた時点で、カイトは抜け出せないと七は判断したのか。


「これと同じ効果がある魔導具にアルカイズ様が閉じ込められたかもしれないのですよね。基本的に花瓶の魔導具は花の劣化を防ぐため、魔力を与えるもの。それを見誤ったから」


 メアリが花瓶の魔導具本来の使い方を説明してくれた。花瓶に魔力を込める事で、花の生命を長引かせる。魔力を与える物だと。


 だが、この花瓶は逆に魔力を吸収するようになっている。外側の底部分に魔法陣が描かれており、そのせいらしい。


「でしょうね。誰がアルカイズの名前を呼んだかになるけど。三の可能性はあるわ。利用させて、その後に殺された」


 キスもアルカイズの従者である三が侵入者の共犯であると疑いを持った。


 名前を呼ぶという行為がそう思わせる。偶然起きた事でも、それをメアリやキスに伝えず、助けを求めなかった。メアリ達が捜索に協力したのにも関わらずだ。

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