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もう一輪

「底からも付くようになったら、危険かもしれません」


 時間の経過と共に壁だけでなく、底からもカイトを逃さないように糸が絡みつく可能性がある。


 アルカイズも魔力だけでなく、身動きが取れなくなったのではないだろうか。その時に花瓶の中に水が入れば、溺れてしまうのも分かる。


 そうでなければ、水を利用して、浮上する事も出来ただろう。


『この糸を利用して、張り付きながら上に行く……のは無理か。離れなくなってもおかしくはない』


 その粘着性を利用するにしても、リスクが高すぎる。今はカイトも動ける状態ではあるが、魔力を吸い取るため、糸の強度が上がれば、そこから逃れる事が不可能になってしまう。


「生命力を奪わなくても、ここから抜け出せなければ同じ事です。本当に何とかしないと……明かりが消え……た」


 館内の明かりが消えたのは深夜、消灯の時間になったわけではない。


 そうなったのは一瞬。いや、花瓶の中に入ってくる明かりの量は一気に減ったのは確かだ。その原因は何か。


『新しい花が花瓶に挿されたのか。一体誰が……』


 花瓶が置いてある場所は死角にあり、一度調べた時に何もなければ、もう一度見ようとは思わないだろう。


 そこに花を置こうとするのは花瓶を設置した人物だ。


 七がそれをしたのか。だが、新しい花は何処から手に入れたのか。入口はメアリとキスの結界によって封鎖されている。


 であれば、零が飾ったのか。館内の何処かに花を置いてあり、それを使用したのか。


 どちらにしても、花瓶の中を覗く事もなく、花を挿された。


 カイトが花瓶の中にいる事を知っているのは七のみ。零がそうしたのなら、中に水を注ぎ込む事があるかもしれない。


『……水は注がれないか。この花瓶が魔導具であり、水が必要じゃない事を知っている。君を殺すつもりではないのか』


 カイトもそれを警戒したが、水は一向に流れてくる気配がない。アルカイズが溺死したという前例があるのだから、彼を殺す事も可能だと考えるはずなのだが。


「これって……逆に助けようとしてくれてるのでしょうか?」


 花には魔力があり、花瓶がそれを吸収する事により、その花は枯れていく。


 カイトの魔力が吸い取られた事で予想しただけだったが、実際にその花が中に入ると、彼に伸びてきた粘着糸が花の方へ。


 その粘着糸の数は花を動かないよう固定出来るぐらいに増えていく。


『この花をロープ代わりにして、上に行くのか。固定されているから、揺れる事もないはずだ』


 花は一部が外に出ているせいか、カイトや鍵、人形のように小さくなっていない。


 そのお陰でカイトが脱出するための道具にもなる。粘着糸が伸びてるのもあり、落ちたとしても痛みを軽減しそうだ。

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