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仕組んだ者

『……一番あってはおかしい物だな。怪しさは増したが、理由が分からない』


「ですね。これは彼が持っているはずです。わざわざ手放すのは……」


 カイトやメアリ、キスの人形が隠されていたのであれば分かるのだが、花瓶の中にあったのは焼却炉から持ち帰ったばかりの七の人形だ。


 その際、人形は燃やされる事はなく、死を免れた。何もされないためにも、本人の手元にある。キスが渡したのを全員が見ている。


『もう一つ人形があったのなら別だが、そうでなければ、七でしかこの中に入れるのは不可能だ。であれば、この魔導具を知っていた事になる』


 この花瓶の中に人形を入れる事が出来るのは七しかいない。もしかしたら、あの場所に置いたのも彼なのかもしれない。


 時間の猶予もあった。カイトと零が侵入者に襲われた時、彼だけが館の入口で待機していたおり、花瓶の移動は出来ただろう。


 人形を花瓶の中に入れるのも、浴室にいたカイトを呼びに行く時にでも可能だ。


「人形は……何かされてるわけじゃないですね」


 アルカイズの人形だけが違った形にはなっていたが、他の人形がされたように殺されている。


 だが、ここにある七の人形は首が切られたり、ナイフで刺されたり等はされていない。


 焼却炉にあった時と同じで、薄汚れた状態のまま。何かをする時間はなかったのか。


 そもそも、それをすれば七が死ぬ事を意味してしまう。本人がする意味がないだろう。


『……七は君が盗んだ事にでもしようとしているのか?』


 カイトの死体が発見された時に見つかれば、盗んだと勘違いされるだろう。それも従者同士の争いとされ、彼に罰が起きたとも思わせる事も出来るのかもしれない。


『もしくは、消す事に意味があるのか?』


 最後までカイトが見つからなければ、この人形も発見されない。行方不明のままになる。


 十と三も死体とはいえ、姿が消えてしまっている。七を含め、従者全員が消える事もありえる。


 ただし、七が生きながらも消えた場合、キスとの命約が残っている。彼女の代わりになるのは避けられない。


 キスをこの花瓶の中に入れるか、七自身が入るか。そうすれば、閉じ込められている間は途切れていただろうに。


『その答えは脱出しなければ分からない。色々試していくぞ』


「はい」


 七の人形や鍵はカイトと同じ様に小さくなっており、燕尾服のポケットの中に入れた。外に出た際、この二つは重要になるからだ。


「調べられるのは壁ぐらいですが」


 カイトは壁となっている横側に足を進める。見る限り、足場や窪みがないのは分かっている。


 アルカイズが脱出出来なかったのだ。簡単に脱出方法が見つかるはずもない。

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