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吸収

 花瓶や壺を調べる事を決めたのはカイト自身。枯れた花と魔導具の花瓶を見つけたのも彼。覗き見たのも、誰の指示でもなく、カイトが決めた事だ。


 七が名前を呼び、それにカイトが返事した事で花瓶が反応したとしても、七のせいになるのか。


 カイトは七の視界から消え、それを探しに行き、声を掛けただけ。


 互いの視界内にいる事を決めていた以上、悪いのはカイトの方になる。七が仕組んだとしてもだ。


「……七が仕向けたとしたら、メアリ様に危険が及ぶ可能性があります。ここから早く出ないと」


 もし、七が仕組んだ事でなくても、今はそう考えて動くべきではある。


 魔導具の解除方法として、魔法が必要な場合は明日にならなければ、メアリもカイトを助ける事が出来ないのだ。


『そうだな。メアリがカイトを助けるにしても、魔法で解除出来るかも分からない。下手に回数だけを減らされるだけになるぞ。アルカイズが脱出に魔法を使わないわけがないからな』


 アルカイズが脱出を試みるために魔法を使わないわけがない。失敗したからこそ、死んだ可能性もある。


「確かに……その通りだと思います。アルカイズ様が……魔法使いが無理だった事に挑まないと駄目なわけですね」


 魔法使いが脱出不可能だったものを、カイトは攻略しなければならなくなったわけだ。


『それにしても……君の体は大丈夫なのか? 魔導具の中にいる事で不調になってないか』


 花瓶の注ぎ口の高さから、底まで落とされたのもある。それに花が枯れたのが異空間のせいであるなら、カイトの体調に変化があってもおかしくはない。


「体調ですか? 特にこれといって……逆に体が楽になっているかもしれません」


『楽にか? ……この中に毒が漂っていたりするのか』


 カイトの魔力が増える呪いは、毒により緩和される。だが、その一方で毒が蓄積されていく。


 彼の死因も毒だった。この場に長くいるのは危険な理由が増える事になる。


「毒でもないですね。感覚で分かります。メアリ様に魔力を吸い上げてもらう方に似た感じですね」


『……魔力を吸い上げるか。アルカイズが出れずにいたのはそのためか。魔力だけでなく、気配遮断の魔法も吸収したのかもしれないか』


 アルカイズが外に出るため、魔法を使用するにしても、魔力が無ければ無理な話だ。


 花瓶が消えたのも、アルカイズが気配遮断の魔法使用時に中へ取り込まれた事で、それを花瓶が帯びたのかもしれない。


 そして、アルカイズの魔力がある分、その効果は継続された。それと同時に抜け出す事も出来なかった。


「花瓶に挿してあった花が枯れていたのは」


『魔力のある花だったんだろうな。それを挿す事で、魔法使いが魔力を注がなくても済む。紙に書き込まれていた理由も分かる』

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