解散
「そうですね。三人の意見に賛成します。明日の六時から。この場に集まるので良いと思います」
『彼女も賛成したな。一人で先に進むよりも、君の回復を優先させたのかもしれないか。それも使用回数に含まれるだろ?』
メアリはカイトの回復に魔法を一回使用しなければならない。体調の変化はカイト自身、何時起きるかも分からない。
それを考慮して、彼女は謎解きで魔法をニ回だけしか使わないだろう。説得が難しいのはカイトが一番分かっている。
「全員賛成って事で、明日から開始にするから。集合場所が食堂なのは良いんじゃないの。明らかに怪しいからね」
「ここが謎の一つなのは間違いないでしょうね。協力が必要なのでしたら、最初にやってみるべきなのかもしれません」
カイトや死神だけでなく、メアリやキス、ディアナも食堂が四つの色に区分けされてる事に違和感を感じ取っていた。
口に出さなくとも、アルカイズもそうに違いない。従者の部屋の事も三から聞き及んでる事だろう。
「これで解散でいいのか? 私は部屋に戻るが、抜け駆けをしないよう、従者達も一つの部屋に休ませるのはどうだろう」
アルカイズは席から立ち上がり、そんな事を口にする。従者を休ませるというよりも、互いに監視させる腹だ。
集合前のように直接動くのは従者達であり、命令するのは主である魔法使い。
謎があるであろう箇所の探索も全員が終わったわけではないのだから。
「それで構わないわ。そういえば……魔法使い同士、従者同士の争いは禁じられてるけど、口論も駄目だったりするわけ? 流石にそれはないわよね?」
主張の違いによる口論。主が知らないうちに従者同士の口論が起きた場合、罰を受けるのは主になるからだ。
だが、メアリとキスの意見の違いも口論になるのであれば、すでに罰せられてもおかしくはない。
「死に繋がるものでなければ、問題ありません。魔法使いであれば、相手に魔法を使うのは禁止です」
零はキスの質問に肯定したが、死に繋がるものたという基準は難しい。とはいえ、魔法を攻撃手段に使えないのは安心と思うべきか。
「だったら……止めておくわ」
続けて、キスが零に質問をしようとしたが、途中で止めてしまった。その質問が自身の有利か不利に繋がるものなのかもしれない。
「私達が解散直後、すぐに従者を部屋に集めるのですか? 自室に戻り、従者と少し話をしたり出来ませんか?」
メアリは挙手して、従者達が集まる前に猶予が欲しいとキス達に頼んだ。
彼女にとって、カイトの体調を回復する時間が必要。この場で彼の治療するのは危険だとメアリも分かっているのだろう。
彼の回復が出来なかった場合、従者の部屋で苦しみ始めたとして、従者三人は主に知らせるはず。それがどう転ぶかは判断がつかないのだが、良い方に行かないはずだ。
「勿論、一度は部屋に連れて行きます。試験の内容が分かったのだから、対策の話ぐらいはするでしょう」
「先程の休憩時の話も全てを聞いてないのでな。こちらの用事を終えてからなのは当然ではないか?」
「私も問題ないわ。謎に挑戦しない限り、安全は保証されてるようなものなんだから」
ディアナ達三人が同意して、カイト達従者の食事も終えて、この場での解散となった。