幕間 ー9ー
「そうだとした場合、状況が変わってくる場面が出てくる」
当然、それは三の死について。アルカイズと三の命約が効果を無くしていたのであれば、あの死体が別人の可能性が出てくる。
カイトと死神はあの死体を直に調べてはいないのだ。
三だと判断したのは、性別であり、彼女が着ていた服。身長も同じぐらいであり、調合室から取った毒薬が服の中にあった。
だが、彼女の頭はなかった。血溜まりはあったが、首から上がその場になかったのだ。
アルカイズの死体を発見した事で、彼女の死体であると決定的としたわけだが、それが覆れば、話はまた違ってくる。
別の死体だった可能性。だが、あの死体が三でなかった場合、誰の死体になるのか。消えた十の死体ではない。性別、体格も違っている。
侵入者が入れ替わり用に準備した。それはありそうではあるが、その死体が三とは違う従者だとすれば、その魔法使いを三は信用するのかともなる。
他の魔法使いと同じで利用されているだけだと考えないか。
あの死体が三であってもおかしくはない。今は死神の憶測でしかない。共犯なのが七と三である事もそうだ。
「この二人が侵入者と共犯だった場合、難しいところがあるか」
二人はキスとアルカイズの別々の従者だ。
何時、何処で二人は侵入者の共犯、協力者になる事が出来たのか。互いにそれを知っていたのか。
二人が共犯であるのなら、もう一人の従者である十はどうなのか。
魔法使い達全員がいつもと違う従者を連れて来たのは怪しいところではあるのだが、それはキス達が決めた事だ。
それに彼は最初に殺されている。流石に死体を偽装するのは難しいだろう。
「零はどうだ? 三人共に共犯であるなら」
従者の部屋で全員が眠らされた事も、カイト以外が共犯であれば、仕込む事は可能だろう。
「十やディアナ殺害に関しては、三人には無理だが、侵入者は何時から館に潜んでいたのか」
十殺害に関して、従者達が手を出してはいない。従者同士の争いは禁止され、罠を張るのも無理となっている。
あの時、七や三は主達と行動していた。三に至ってはアルカイズを罠に嵌めてた時間かもしれない。
ディアナ殺害にしても、侵入者を中に入れたのが不可解のままだ。
「……カイトが目を覚まして、本が再び開かれたな。どんな展開になっているか」
すでにメアリが花瓶の中からカイトを助けていたとすれば問題なく、七の疑いが晴れる事になる。
そうでなく、異空間の中に残された状態の場合、謎解きよりも脱出方法を探す事になるのだろう。




