ナイフ
七が調べようとしている絵も、紙束にある魔導具の説明に含まれている。
だが、額縁は描かれているだけで、どの絵なのかが判別が付かない。中身の部分が絵ではなく、文字が書かれているからだ。だからといって、額縁自体が魔導具の可能性もあるが、中心に文字を書く理由はあるはず。
『これもだが……侵入者が使用したにしても、何処にあったのか。あそこにあったのは魔導具ではないはずだが』
死神が気になっている魔導具はナイフ。それを見たのは倉庫。
倉庫にはナイフが無数にあり、その置き方がピアノ室の謎解きのヒントになっている可能性がある。
だが、倉庫内にある物に魔導具はなかったはず。従者用の倉庫だと、零が言葉に出していたからだ。
それに絵のナイフと倉庫のでは形が違っている。持ち手が音符のようにはなっていない。
とはいえ、先程の絵の絵を考えるなら、ナイフをきちんと描かれているのかが分からない面がある。
ナイフかどうかという事も考えられる。ナイフではなく、包丁。ディアナが刺されていたのが包丁だからだ。実際は普通の包丁ではあったのだが。
だとすれば、十を刺したアレが魔導具であるナイフ。そうだとしても、何処で侵入者は手に入れたのか。
最初から所持していたのか。そうでなければ、燕尾服の加護を破る程の物でなければ、十は殺せなかったはず。
『私が十の背中に刺されたナイフの取っ手の形とも違っているようだ』
カイトと死神は十が倒れる姿を鏡越しに見ている。その時に見た物と絵とは別物らしい。
「ナイフの魔導具……それも気にするべきところですが、今は壺や花瓶の方を気にしないと」
カイトは紙束をある程度だが、最後まで目を通した。その中に二階の壁にある紋様に関しては、何も書かれてなかった。紋様であって、魔導具とは関係してないようだ。
彼が調べるのは壺や花瓶の魔導具。文字は読めないが、絵で館にあるどれかを見つける。一枚の絵に二つのあるのは同じ効果のなのか、使用後の変化か。他にも花の絵が共に描かれているのもある。
『そうだな。こちらはまだ分かりやすいだけ楽だが、七の絵の方は難しそうだ』
魔力が残ってないだけに安全かもしれないが、どの絵が魔導具であるのか調べるのは難しいだろう。
全部そうであれば、メアリ達が口に出しているはずだ。
「見終わったか。まずは食堂の絵を見ていく。食堂の扉は開いているからな。お前も食堂に来る必要はないぞ」
七は食堂の謎解きで使用した絵を念の為に調べるようだ。
四つの絵を元の位置に戻す事でシャンデリアが降りて来るようになっていた。
その際、絵に触れても問題はなかった。入れ替え次第で別に何か起きるのか。それも調べるとしたら、危険ではあるが。七もそれは理解しているだろう。




