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沈黙


「お待たせしました。メアリ様も七に感謝しています。後程、キス様にも伝えた方がいいでしょうか?」


 カイトは自身の部屋、客室に汚れた燕尾服を置き、メアリの部屋へ。今後の行動を伝えた後になる。


「それは不要だ。主同士が協力関係を結んでいるのだから、主も納得する。魔法を使い切ったのだから、覗かれる事もない」


 キスが借目の魔法を使える事を七は知っているようだ。従者として、主の魔法を把握しているのは当然か。とはいえ、自身に使われたのかを知ってたのかまでは別だろう。カイトも聞く事はしなかった。


 今日の魔法の回数が無くなったのだから、使えないのは明らか。七としては監視されたくないのか。


「あの事は言ってないだろうな。余計な心配をかけるだけだ。私達が死なないための手段でもあるからな」


「大丈夫です。協力するうえで、約束は守ります。そこは魔法使いでなくとも同じですから」


 彼と共に行動するにあたって、条件を提示してきた。


 それは『魔導具を調べる』と、メアリに伝えない事だ。


 安易に魔導具に触れては危険だとカイトや七も承知している。そんな中、魔法使いがいない状態で調べようとすれば、彼女だったら止めに入るだろう。


 それを危惧した結果、カイトにそこだけは言わないように、七は念を押したのだ。


『この時点で彼の魔法使いに対する意識が分かるな。彼も三と同じだ。主に対して、良しとは思ってない』


 キスも七が優秀であるからこそ、この継承権争いに連れて来たわけだが、完全に信用はしてない。カイトはその場面を見ている。


 七にとってもキスが一番の主であるかといえば、そうではないのかもしれない。


 彼にもキス以前の主がいた。従者同士の交換、それとも主が亡くなったのか。


 彼女と前主の差。どちらが上、同等に嫌な存在だった可能性もある。


 それでも仕えるのは生きるためだろう。


 魔導具を事前に調べるのは、主のミスで自身の身に振り掛かるのを阻止する。自分のミスでの死なら許されるが、主の失敗で死ぬのはたまったものじゃない。それが命約だとしてもだ。


『……魔導具もそうだが、彼の行動にも注意しなければ駄目だからな』


 死神が警告してくる。七がカイトと行動するのには裏があると考えているようだ。でなければ、彼から提案してくるとは思えないと。


「怪しい行動は幾つかあると思いますが、流石に気にし過ぎですよ」


 彼の怪しい行動といえば、零と一緒にいる事が幾度もあった。それはキスの指示でもあったのだから、問題はないはず。


 館の入口の鍵の件。アレは侵入者が消したとされるが、鍵を所持していたのは七。手には剣も持っていた。


 鍵を消す事は七でも可能ではある。これは誰もが考えそうだが、口に出す者はいなかった。

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