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別の使い方

「それが答え……どんな計算すれば良いのか、分かったんですか!?」


『本棚の端に=が刻まれていた事。本にある数字も考えれば、計算だと判断出来る。君達もそう考えた。なら、単純に計算すればいいだけだ』


「単純といっても……白黒の本の意味が分からない事には」


『発想の転換が必要なんだ。衣装室の謎解きで白と黒が意味するのを十と一の数字として扱った。だからといって、書斎にあった本の題名に書かれている数字はこれとは違う』


 書斎にあった本の数々に書かれていた数字はⅠやⅡ、Ⅲ等であり、従者の部屋にあった一、二、三とは違っていた。


 だとすれば、白黒の本は数字として扱わない。けれど、白と黒が示した物だけは別の用途として使えるのだ。


『衣装室の謎解きで和差積商という計算があった。君達の世界で計算する場合、どのような記号を使うのだ?』


「計算ですか? それは+と−を……そういう事ですか!!」


 十は数字ではなく、プラスとして。一もマイナスとして使う。一つの文字で別の使い方をする。


 最初に数字と見せた事で勘違いさせる寸法だったのだろう。


「メアリ様達にすぐ伝えても」


『確実とはいえないがな。悪魔の数字を見つけた際に伝えてもいいだろうとは思う。今は彼女を回復させる事の方が重要なのだろ?』


 メアリにそれを伝えれば、謎解きに出向く可能性はある。キスと休む事を約束した以上、明日からの行動となる。下手に伝えるだけ、彼女がヤキモキするだけになるだろう。


「そうですね。メアリ様に無茶をさせるわけにもいきません」


 カイトだけで謎解きを試してみるのも、正解だった場合はキスを裏切る事になる。今は余計な事をするのは避けるべきだ。


「それだと……僕がする事は」


 ドンドンドン、と浴室のドアを叩く音が聴こえてきた。


 キスやメアリではないだろう。となれば、零か。彼女も焼却炉の中には入らなかったが、扉前までは来ていた。臭いが体についてはいるのだろう。


 入るタイミングとして、カイトよりも先に来ていててもおかしくはないのだが。


「まだ体を洗っているのか?」


 ドアを叩いているのは七。すでに書斎へ行き、キスとメアリを自室まで送り届けた事になる。


 死神との会話は時間が止まっているのだが、途切れ途切れに経過しており、心配するほどの時間になっていたのか。


「メアリ様から、部屋へ戻ってくるまではと頼まれた。甘い主に感謝するんだな」


 七がここに来たのは、カイトが一人きりになるのを心配したからのようだ。


 キスではなく、メアリの頼みは魔法使いの指示でもある。拒否する事は出来ない。『部屋に戻ってくるまでは』と限定した事で、キスは何も言わなかったのかもしれない。彼女は七に単独行動をさせるつもりでいたはずだ。

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