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七の人形

「右端に人形があります!! 誰なのか確認します」


「人形ですか!? 分かりました。キス様達に見せるため、持ってきた方がいいと思います」


「勿論そうします!!」


 カイトは単に右側に移動するわけではなく、壁に触れながら進むのも忘れない。


 声が響きから、キス達がいる小屋前に届いてる事も考えられる。


『人形が誰を示しているのかもそうだが、どのような姿になっているかだ。見立て殺人、予知、どちらにしても一度外れてはいるが、気にするべきところだぞ』


 十、三、ディアナは人形と同じ姿で殺されている。唯一違うのはアルカイズだけ。人形の姿と似ている部分はあるのだが、彼は溺死であり、人形が濡れている事はなかった。


 とはいえは、半数以上が同じ殺され方をしている。気にするべきところではあるのだ。


「壁に隠し扉はなし……ですね」


 カイトは奥側の右端に到着。左側と同じく、ゴミ袋が置かれている。こちらもゴミ袋一つ分の空きがある。


 侵入者は二度この場所に来たのか。それとも偶然出来た跡なのか。


「人形は……彼ですね」


 埃や錫で汚れてはいるが、人形が着ているのが赤の燕尾服だと分かる。それを着る人物はキスの従者である七だ。


 カイトは七の人形を持ち上げた。問題はその人形がどんな状態になっているのか。


 見た限りでは十やディアナのようにナイフで刺されている事もなく、三のように体の一部が切られているわけでもない。


『アルカイズの人形のように刻まれているわけでもないか。この場所に置かれて、汚れているだけのようだ』


「……まだ何もされてない状態なのでしょうか? この場所に隠していただけとか」


 キス達が館から出ないと考えたのなら、隠し場所としては悪くはない。


 アルカイズの死は人形とは違ってしまった事を踏まえて、侵入者も他のメンバーの殺し方を決めかねているのか。


 勿論、それは人形を手に掛けているのが侵入者だった場合だ。


 館の主の予知が関係していた場合、盗まれた時点で、メアリ達の人形に手を掛けているはず。


『それであれば、メアリ達の人形も一緒にあるはずだ。順番を考えるのなら、彼の人形が見つかってもおかしくはない』


 ディアナ、アルカイズときて、次に殺されるのはキス。命約により、それよりも先に七が殺される事になる。


『彼の人形を発見させるため……とは考え過ぎか』


 零が焼却炉に来た理由は、赤の侵入者の腕を燃やすためではなく、七の人形を発見させるためとも考えられる。


 だが、七の人形に何もされていない以上、見つけさせる理由が分からない。


「一体誰の人形だったんですか? それにキス様達を待たせるのも」


 零はそう尋ねてくるが、実際は知っていたのだろうか。

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