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ゴミ袋

『ここから侵入者に物を渡す事が出来てしまうからな。武器や食べ物もそうだ。なんせ、ここに鍵がない事は彼女自身が言っていた』


 焼却炉のある小屋に鍵がなく、焼却炉の中に入る扉でさえも付けられていないのだ。


 館の侵入者経路として怪しむ事も出来るが、侵入者が二人いる事が分かった以上、館で物資調達した物をここに流す事も可能という事だ。


「……新しいゴミ袋はないですね。そこまで時間は経ってないはずですが。反対側にあるかもしれないですけど」


 死神が遠目で見た通り、汚れた袋はあるが、目新しいゴミ袋が置いていない。刷毛棒で移動したにしても、袋の上にある埃の溜まり具合が違う。


 ここにあるゴミ袋の全てが同じぐらいに埃が溜まっているのだ。


『いや……運んだ痕跡はある。残っているゴミ袋にある埃の落ち具合もそうだが、土にも落ちているだろ』


「……ああ!! なるほどです。ぽっかりと空いてますね。けど、彼女がわざと落としたとも言い切れないんですよね」


 ゴミ袋の上に埃や錫が溜まっているのなら、土の上にあってもおかしくはない。


 刷毛棒でゴミ袋と一緒に埃も運ばれ、そこだけ埃が消えているのは分かる。


 そこだけじゃなく、ゴミ袋が溜まっている場所に袋一つ分の空いてる箇所がある。そこも埃が消えているのだ。


 それは少し前にゴミ袋があった証拠ではないだろうか。


「何か見つかったんですか?」


 カイトが端で止まった事で、零が尋ねてきた。ゴミ袋は運ばれているわけだが、中身が分からない以上、零を簡単に疑うわけにもいかない。


 単に侵入者が盗んだ可能性もある。知られたくないのであれば、彼女から聞いてくる事もないとも取れるのだが。


「いえ……土の上にある埃で、侵入者が来たのかを確認出来るかと思ったんですけど」


 カイトが移動した足跡も、埃が土の上に溜まっていたせいか、ほんの僅かに残っている。


 だが、他に足跡は残っていない。刷毛棒が無造作に動いた跡はある。それは零がいる扉まで伸びている箇所もあったりしている。


 調理場から流れてきたゴミに刷毛棒は反応するらしいが、それ以外に動く事はないのか。


「私が見ても足跡らしき物は、壱のしかないですね。刷毛棒をこちらから動かす事も出来はするんだけど」


 それを使った時点で侵入した事がバレる。足跡を残すのと同じ事だ。


「そうなんですね。だったら、侵入者が一度来た可能性はあるという事か」


「ですが、どれを使うのかは判断しにくいかと。焼却炉のスイッチを間違えて使ったのなら、調理場からでも分かりますから」


 刷毛棒は操作出来るが、どのスイッチを使うのか見極めが難しい。カイトも上で零に注意された事だ。

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