そっちですか?
「……いいのですか? キス様はすぐに戻ってくるよう言われましたが」
カイトや死神としては零の提案は嬉しい限りではある。
「壱の目は良いのは分かりましたから。何か気になる物を見つけたのでしょ? それを調べるのはキス様達にとっても悪い事ではないはずです」
死神の目の事もあり、彼女はカイトが何か見つけたと勘違いしているようだ。
先程の戦闘後、侵入者達がここに来た様子はないが、カイト達が館内にいる間は別だ。
焼却炉のある小屋に奪う物がなくても、何かした可能性はゼロではない。
もしくは、零がいない間に調理場から何かを捨てているかもしれない。
侵入者は調理場から包丁を奪っている。その包丁でディアナは背中を刺されているのだから。
『……そこまで言われると逆に気になるのだが』
彼女としては見つけて欲しい物があるのか。そう捉える事も出来る。逆にそれでも見つけられないと分かっているのか。
分からないというのは、館とここがゴミ捨て以外に繋がる通路があるのかだ。
「……もしかして、ここから館に通じる道があったりするんですか? 館にも地下があるとか?」
カイトは思い切って、零に尋ねた。彼女自身、館の地下の存在を知っているのか。
ゴールド=ゴールが隠れている可能性が一番高い場所でもある。謎解きを通じて、その存在を教えるのであれば、答える事は無理だろう。
この質問はメアリが感視を使える状態でするべきなのだろうが。
「……そっちですか? ……この場所があるのだから、館に地下があってもおかしくはないかも。私は地下がある事は聞かされてないですけど……ここから侵入者が入った可能性もある?」
『零が答えるまでの間もそうだが、『そっちですか?』の言葉は。思わず出てしまった感があったぞ』
零が見つけて欲しい物は別であり、カイトが地下の存在を疑うとは思っていなかったのか。
彼女は真偽は定かではないが、館にある地下の存在は知らされていないようだが、否定はしていない。
ディアナ殺害時、カイト達従者も眠らされたわけだが、侵入者は何処から侵入者したのか。
その時には零が入口に鍵をしていたはず。それを考えるのなら、地下の存在があってもおかしかはないと、彼女も思ったのかもしれないが。
とはいえ、カイトはそこを追及する事はなかった。
メアリ達を待たしてるのもあるが、扉の向こうに行くのを却下されるわけにもいかない。
「それも調べてみるのもありと思います。零も一緒に中へ入りますか?」
この判断は難しい。二人で調べる事で、零が見落とす事も有るだろう。だが、扉の向こうで零が常に見てくる、監視状態になるのもやりにくくはある。




