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二つの区画

「さっさとそんな物は置いて、戻ってきなさいよ。何かあっても、私達が下に行く事はないから」


「心配ありません。ここには何もないはずですから。壱も肩を貸さなくても大丈夫です。階段は二人が並べる程の幅はないので」


 キスの言葉に、零が先に下へと降りていく。カイトが肩を貸そうにも、彼女の言う通り、階段の広さは人一人分の幅しかないのだ。


 下で攻撃されようものなら、咄嗟に逃げるどころか、避ける事も厳しいだろう。


 そんな中でも、彼女が先頭を選ぶのは安全な証拠なのかもしれない。


 明かりも地下からだけでなく、扉を開けたままにする事で、外の光もあり、階段で躓く事もなさそうだ。


 カイトは斧を持っているだけに、前にいる零に当たれば大惨事になってしまう


「ここです。扉の先が焼却炉になっているので。スイッチはこちら側にあります」


 小屋の地下は上よりも広く、二つの区画に分かれている。それは階段がくの字型で真っ直ぐ下に行くのではなく、折り返しとなる踊り場で曲がる事があったからだろう。


 階段側にあるのは焼却炉を動かす魔導具が設置され、扉の先の全てが焼却炉となっているようだ。明かりは魔導具の点灯によるものらしい。


 扉も分厚い鉄のような物で作られており、上部には中が見える窓もあり、下部にはゴミを入れるための挿入口が作られている。


 カイトはその扉の窓から中を確認すると、予想以上の広さがある。それこそ、上にある小屋と同じぐらいではないか。


『焼却炉としてはかなりの広さがあるな。そこまでの大きさは必要があるのか』


「もしかして……メアリ様達はここで」


 下手をすれば、何人もの死体すらも同時に消せる。行方不明となった彼女達の死体はここでも燃やされていたとしてもおかしくはない。


『……あるかもしれないな。館の地下はここから入れるのかも見なければ』


 この広さがあるなら、館に繋がる通路があってもおかしくはない。


 調理場へと繋がる穴、押戸があるのは一目見れば分かる。そちらの方向に館があるわけだ。


 その押戸の近くに長い棒が二つあり、刷毛のような物も付いている。


 穴の真下にゴミが集まっていないのは、その棒が端へと移動させているのだろう。幾つかはそれらしき物が置いてある。


 ゴミ袋の数は少ないのだが、どれもが時間が経過していそうな物のようにも見える。だが、新しい物が見当たらないようにも見えるのは気の所為か。


 棒が移動させる事で、埃が袋についてしまうのも考えられる。


「……気になるのなら、扉を一度開けましょうか?」


 死神との会話の時間が途切れ、零がカイトに話し掛けてくる。


 赤の侵入者の左腕は下の挿入口から入れるだけで済む話なのだが、カイトが中を気にしている事に零も気付いたのだろう。

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