表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
249/491

聞かせられない話

『曲がり角の直後で血の跡は途切れた。流石にここで気付いたのか。森側に向かったにしても、血の跡は残るはずだ。……気になるだろうが、足は止めては駄目だぞ。動いた方が的にされにくい』


 カイトは零と話しながらも足は動かしていた。曲がり角も意識して曲がってはいるが、血の跡が消えたところまでは見えていない。


 そこは言葉通り、カイトは死神に任せているようだ。


 だが、動かしていた足も、零の返事で止める事に。


「す、すみません。でも、彼女の言葉が気になって」


『……仕方がない。気が散漫になって、転んでしまう事にもなりかねないか。少しの間だけだ。話の途中からでも足を動かすように。彼女が言う予知が合っているか。君なら知っていてもおかしくはないからな』


「……そこまで詳しくはないです。メアリ様の行方不明の事だけを考えてましたから」


 カイトが亡くなったのは二十歳。この出来事から五年も先だ。それまでに魔法使いと従者に変化は起きたのか。


 彼はメアリの行方不明の事に集中していたせいで、そこまで世間の事を知らないようだが。


「それは……メアリ様達が死ぬ事を事前に知っていたという事ですか?」


 この先の事が予知されているのなら、メアリ達がどうなったのかを零が知っていてもおかしくはない。


「知りませんよ。予知といっても大まかな話です。壱が来たみたいに予知が外れる事もありますから」


 この出来事よりも先の事。それを館の主が零に伝えたのは、彼女が生き残る事を示しているのか。


「もっと先の事だと思います。メアリ様達がどうなるかは聞かされてませんから。これは二人には言えない事です」


 二人というのはメアリとキスの事だろう。流石に魔法使いには聞かせられないだろう。


「……これは他の従者、七や三、十にも話したんですか?」


 零は七と三の三人で一緒にいるところを、カイトは何度も見ている。その時に一度は会話に加わったが、逸らされたという事なのか。


 それが原因で先に殺された……というわけではないだろう。ディアナとアルカイズを殺害するためには必要な事だ。


「いえ……この話をしたのは壱が初めてです。七の場合、キス様が何処で目を光らせているかも分からないので。三も同じ理由です」


 零の考えはあながち間違ってはいないのだろう。キスは魔法で七の目を借りた事がある。目が出来るのなら、耳も借りれる可能性はゼロではない。


 三の場合、アルカイズが姿を消していたのもある。何処で聞き耳を立てているかも分からなかった。


「……確かにそうですね」


 メアリとカイトの場合はどうなのか。メアリはカイトを信用していて、盗み聞き等をしないと零は判断したのか。


 彼女が気を失っているからこそ、カイトに聞こうとしたのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ