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二度目の死体消失


「……どうしますか? この状況だと館に戻るのが賢明かもしれませんが」


「こうなる事も予想はしていましたが、主の指示は絶対です。それに……気になりますよね」


「それは勿論。メアリ様のためにも侵入者の情報が欲しいですから。ですが……罠の可能性もありますし、魔物であってもおかしくはないです」


「……残る事を選んでくれて助かります。戻る事を連絡する手段を持ってるのは壱ですから」


「無闇に入口を開けるのも危険だろうし、時間を決めては三の二の舞になるかもしれない。これを口にした事はメアリ様に謝ります」


 カイトと零は館の外に出た。


 入口前の扉前まで来たのは七のみ。それも鍵を掛ける役目として。キスとメアリは食堂に残り、水晶玉で零の視点で見ている状態だ。


 カイト達が戻ってくる際、時間の取り決めもしなければ、鍵を開けっ放しにもしない。


 するとすれば、カイトが鈴を鳴らす。彼とメアリが持つ、鈴の魔導具だ。一方が鳴らせば、もう一方も鳴る。


 キス達には隠してあったが、今は協力関係であり、こういう時に使用する物でもある。


 これはカイトが考えたのではなく、死神の案ではある。擬似的世界であり、この先は存在しない。使える物は利用すべきだと、彼が意識を失う前よりも強調している感じはあった。


 そして、問題が起きたのは入口の扉を開けて、すぐに起きた。


 これは七も確認しており、キスも水晶玉から見てはいるはず。


 キスの予想が的中したのか、見事に三の死体が消えているのだ。


 その時点で危険度はかなり高くなるのだが、死体があった場所を調べるには十分な理由だ。


 魔物が喰ったのか。もしくは、侵入者が十の死体のように消したのか。


 カイトと零は館内にいたが、キスもこの状況になっても止める事はしない。


 逆に戻ってきたとしても、確認するのが二人の役目とばかりに押し返すだろう。


『何かを引き摺った形跡を追うのか』


 カイトと零は館を出て、三の死体があった場所に向かった。魔物が喰い散らかした残骸はなく、何かを引き摺った跡が残っている。当然、考えられるのは彼女の死体。


 十の時とは違い、運ばれた形跡が残されている。それも森へ運んでいるのではなく、館の庭内。その跡は館の端で曲がっているようだ。


「そのつもりです。勿論、罠の可能性もありますが」


 死体を引き摺ったのが魔物であった場合、森の中に移動するはず。他の領域内に居続けるのは危険だと獣でも分かる。


『……引き摺った跡とは逆方向に僅かながらに血の跡がある。三の死体を発見した時にはなかったものだ』


 それは死神の目だからこそ、見逃さなかったのだろう。死体から少し離れた場所にある短い草々に血が点々と付いている。


 三の死体発見時になかったという事は、彼女の血ではない。そちらには引き摺った跡がなく、死体から流れた血であるのか。


 引き摺ったのではなく、持ち運んだのであれば、血が滴り落ちる事も考えられる。


 もしくは、侵入者が流した血である可能性もあるのではないか。

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