幕間 ー5ー
「私は謎解きを楽しみたいだけで、ライバル関係等どうでもいい。お前が考えた以外の謎を待ってるまでもあるんだ」
「今のところは君が全勝しているからね。助手が優秀なのもある。けど、それが何度も続くかどうか。私も後から結果を見させて貰うよ。それようにも動けるようには言っているからね」
ツヴァイはアインズにそう言い残し、死神探偵事務所、死者の記憶の本に囲まれた図書館から離れていく。
彼女の仕業であれ、アインズに捕まえる権利もなく、どうこうするつもりもない。
彼女が絡んでくる理由も不明。それもアインズにとっては謎の一つでもある。
ゴールド=ゴールの予知は魔法ではなく、ツヴァイが未来を教えた可能性があるというわけだ。
死神に時間の概念等なく、先の記憶もある。だからこそ、命を奪いに行ける。
ツヴァイはそれよりも前に対象者に会い、言葉巧みに操り、他者の命を狩り取る実験をする。
その時代では犯人が分からないように。その世界に合った未解な殺人を。
それ故、彼女に事件に巻き込まれた被害者がここに招かれる事が多い。
アインズとしては、彼女関連の事件ばかりで、それを良しともしていない。とはいえ、謎解きであるのには違いない。
「ふぅ……彼女が謎解き中に絡んでくるのは久し振りだな。余程自信があるのか」
ツヴァイがアインズの謎解きの最中で話し掛けてくるのは最初と今回の二回目。他は謎解きが終了してからだ。
だからといって、彼女がアインズの邪魔をするためではない。
ツヴァイにも流儀がある。実行犯はその世界の者であり、他の世界の知識を流用するが、その世界で使える物を使う。
事件の最中に指示する事もなく、登場もしない。あるとすれば、今回の絵。彼女が関わった事を示す物が置いてあるぐらいだ。
これはアインズに自身の謎だと教えるため。最初ではなく、途中で分かるように仕向けている。ただそれだけ。
彼女は完全犯罪、未解決事件を生み出すからこそ、それ以上に手を出さない。アインズが関わり始めても変わりはない。
それを考慮しての事件に変化されていく。だが、それでもアインズは彼女に勝ち続けるのには理由がある。
人間は完璧ではなく、ミスをする。アインズが介入する事で、犯人は変化についていけなくなるからだ。
ツヴァイではなく、その弱点をアインズは突く。
擬似的世界において、アインズが魔物を入れたのにも関わらず、ツヴァイが何もしてこなかったのも、無闇に干渉してない証拠だ。
その時点でツヴァイが気付いていなかったのもあるのだが。




