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花瓶

「物音が聴こえたのは……左側。衣装室や書斎がある方だと思います」


「私も同意見ね。アルカイズが調合室ではなく、勝手に書斎の謎解きをしていてもおかしくないわけよ」


 調合室の鍵はキスが所持している。三が館から出る時に預ける形にしたのだ。その部屋は鍵が掛けられ、閉じられたまま。


 逆に書斎は謎解きの途中でもあり、誰も侵入してこないと開いた状態になっている。


「さてと……最初に確認する部屋は……何か変わったような気がするわね」


 七を先頭に二階に到着し、左側の六つの部屋がある方へ体を向けた。その時、七は前へ進まず、足を止めた。


 どの部屋に入るかの指示待ちとも考えられたが、そういうわけではなさそうだ。


 キスは先程までとは違った景色に見えるようだ。七も違和感を感じて、立ち止まったのかもしれない。


「私もそう思います。何処の部屋のドアも開いてはなさそうです」


 キスの声に七が答える。少しの変化があるとすれば、まずはそこだろう。中に誘き寄せるために、わざと開けたままにするのも手ではある。


「装飾品が一つ無くなってます。あそこに置いてあったのは……」


 装飾品。廊下には壺や甲冑、絵等の美術品が置かれている。それもただの美術品ではなく、魔導具。


 壁には紋様も描かれているのだが、その変化に気付くのは難しいが、魔導具の一つが無くなっていれば、そこに空きが出来るので分かりやすい。


 甲冑が倒れたのであれば、大きな音がするかもしれないが、そのままの状態。動く様子もない。


 敷地の結界が解かれているのだ。魔導具に魔力を補充しておらず、単なる飾りになっているのだろう。


『花瓶だな。台も残ったままになっている。来た時は花も刺さっていたが、途中で無くなっていたか』


 死神がその場にあった物を覚えているようだ。確かに台が残ったままであり、小さな置き物であった事が予想される。


「あそこにあったのは花瓶ですよ。客室側にも別の花瓶が置いてます。花は一度取ってから、替えの花がない事に気付いて……」


 零も死神と同じ事を言っている。彼女の言葉でカイトは客室側に目を向けるが、花瓶らしき物は確かにある。そちらにも花は飾られていない。


 それを教えたのは謎解きとは無関係だからなのか。花を抜き取ったのも零自身であると告白している。


「それは何時の話ですか?」


 カイトは思わず尋ねてしまった。花が枯れていたら目につくはずだが、そんな感じではなかったのだろう。不都合な事が何かあった可能性もある。


「一日目の深夜……二日目の早朝辺りです。侵入者とは関係ないですよ」


 二日目の朝であれば、全員揃っていた。何も起きてはいない。人形が紛失したのも、朝食中だったはず。


「花に魔力があっても、私達に何もする事は出来ません。あるとすれば、花瓶の方のでしょう。これが何時無くなったのかです」

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