侵入者の従者
『あの死体が三だと思っているのなら、そう考えてもおかしくはないが……気になるのは確かだ。メアリ達はそこまで危険とは思ってないかもしれない。君は注意しておくべきだ』
あれが三の死体でなければ、侵入者が館内に残っている可能性は高い。死体だけなら、従者でも準備出来るからだ。三が手助けしたかもしれない。
「アルカイズだとしたら、私達に攻撃は仕掛けて来ないはずよ。なんせ、魔法使い同士の争いは禁止されてるんだから。侵入者の従者だった場合は……侵入者の正体を知るために、捕まえるわよ」
侵入者の正体を知るために、従者を捕らえるのは間違いではない。
「従者とはいえ、注意はしておくべきです。ディアナ様が気を許した件も気になります」
メアリもそこはちゃんと警戒はしているようだ。
ディアナは自身の部屋に侵入者を招き入れた。魔法使い相手にそれをするのか。従者相手でもおかしい事にはなるのだが。
「……ディアナみたいにはならないわよ。そろそろ行くわよ。あっちに時間を与えているようなものだし。アイツもさっさと姿を見せたら良いのに」
メアリの言葉で、キスも警戒を少しは強めたようだ。それでも物音を出したのはアルカイズだと考えていそうではある。
「……私も一緒に行っても構いませんか?」
零も二階へ行きたいようだ。相手は二階にいるのだから、一階の方が安全ではある。
「構いませんよ。館の管理を主に任されているのだから、気になりますよね。自分の身を心配するのもあります」
キスであれば、零の同行を拒否するのだろうが、それよりも先にメアリが許可を出した。
「人数が多い事に越した事はありません。キス様からしても、そちらの方が気にならないと思います」
零と別行動を取るよりも、目に届く範囲にいてもらった方が、警戒しなくても済む事になる。
「……分かったわよ。アンタも一緒に来なさい。館の事を一番分かってるはずなんだから、変化があれば言いなさいよ。主の身も危なくなるかもしれないんだから」
「出来る限りは協力します」
侵入者が謎解きに関する事をしていた場合、キス達に答えを教える事は流石に無理なのだろう。最低限の協力と思っていた方が無難だ。
「行くわよ。さっきも言ったけど、先頭は七。次に零。私とメアリ、最後尾は壱。連れて行ってあげるのだから、文句はなしよ」
これは零を監視するためであり、何もさせないための隊列だろう。彼女が余計な事をすれば、ゴールド=ゴールの従者だとしても、キスは容赦なく魔法を撃つかもしれない。




