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血痕

「壱も早く!! 館の二階から何か物音がしたのです」


 キスに続き、メアリもカイトを呼び戻すために叫んだ。


 侵入者、もしくはアルカイズが二階にいる可能性があるという事だ。


 二人が叫ぶ事で侵入者はどう動くのか。いずれにしても、早々に館に戻らないと駄目になる。


「メアリ様も戻ってくるように言ってるんだから」


 零はカイトに死体を触れさせず、強く引っ張る。彼としてもメアリが呼び戻す以上、拒否する事は出来ない。


「すみません。メアリ様が呼ぶ以上、死体に触れる事は無理です。気になる事は一体何だったのですか?」


 死神が疑うところは何か。メアリを心配するべきなのだが、カイトと彼女の会話時は時間が止まる。


 タイミングを考えれば、この場からカイト達を死体から離れさせようとも取れてしまう。


『一つは死体の温度だ。あの死体が何時殺されたのか。以前から用意されていた可能性もある』


 死体はすでに何者かに用意されていた。それは館の主であるゴールド=ゴールなら可能ではあるのだろうが。


「死体を用意していた……ですが、大量の血が地面に残ってました。流石に死体からそんな血は……この死体は三ではないと思ってるんですか!?」


 服、槍、瓶、身長も三と同じとなれば、頭が無くても、彼女であると判断してもおかしくはない。


 それを死神はまだ認めておらず、それなりの根拠があるのだろう。


『そうだ。零や七は三と決めつけているが、頭が見つからない限り、認めては駄目だ。おかしな部分は幾つかある。その一つは血だ』


「血ですか? 首が切断されたんですよ。大量の血が流れてもおかしくないはずです」


 あれが用意された死体だった場合、何処から血を手に入れたのか。事前に血だけを取り出していたのか。


 そんな事を考える必要はなく、あの死体から流れてきたと思うのが自然だ。違和感があるはずもない。


『そこは間違いないが、体全体に広がるだろうか。仰向けに倒れていたんだ。頭から上の方へ血は流れるのではないか? 勿論、あんな風に広がる可能性もゼロではないが』


 血の広がり。十の時のように、背中に刺された場合、全体に広がるのは分かる。だが、三は首が切られていて、血の流れは首よりも上に広がるのではないか。


「言われてみたら……均一に広がってるのはおかしいかも」


『それだけじゃない。首が消えた事を零や七もおかしいと思っていた。侵入者が持ち去ったとでも考えているかもしれないが……それ以前に問題がある』


 死体の頭が消えていたが一番の問題のはずだが、その過程に何か見落としがあるのか。


『死体に血溜まりがあったが、それは二つあるべきだろ。頭があった場所にも血が流れているはずだ。それが周囲にはなかった。すぐに拾ったとしても、血痕は消えるはずがない』

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