表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/491

呼び戻し

「確かに……槍は僕でも扱うのは難しいです。隠れて移動するとなれば、持っていくのは危険ですね」


 これが槍ではなく、ナイフであれば話は別だっただろう。ディアナは調理場にあった包丁で背中を刺されて、殺されたからだ。


「従者の体に仕掛けを施されていると警戒した……というのはどうです? だから、遠くから攻撃をしたわけで」


 従者は捨て駒。侵入者を殺すため、体に毒を塗っていると怪しんでいた。


「なるほど……けど、侵入者がキス様達の姿を一度でも確認していたのなら、その可能性はかなり低いかと。魔法使いと従者の色は同じになっているので」


 もし、侵入者がアルカイズが姿を消している事を知っていた場合、自身を倒すための生贄にするのは無理だと分かるはず。


 なんせ、指示する主がいないのだから。キスやメアリの命令があったとしても、命約の事もあり、勝手に死なせるわけにもいかないのだ。


 とはいえ、今回は三自身の意思で外に出たわけだが、そこまで侵入者が把握していたのかは分からないのだが。


「首だけが消えている理由は分からないが、三が殺されたわけではなかったら、どうなんだ」


「あっ!! アルカイズ様の命約が発動したせいでだ。さっきの私が考えたのよりも納得出来るかも」


 七の考えを零が言葉にする。


 三が狙われたわけではなく、アルカイズが一度殺された可能性。命約により、彼女が身代わりになった。


 侵入者の姿も見えず、槍や瓶で反撃も許されない。彼女自身、何が起きたのかも分からずに死んだ事になる。


「侵入者は三が何処で死んだかも分からなかった……なるほど」


 三の死体は館の目の前にあるが、アルカイズを狙っていたとすれば、そこまでの余裕はなかったとも考えられる。


 侵入者の狙いは従者よりも、魔法使いであり、命約を一度使用させれば、従者の存在はどうでも良くなるはずだ。


 それであれば、侵入者が三の死体に触れなかった理由にはなるのだが、七も言っているように、ネックになるのは彼女の首、頭だけが消えている事。


「これでいいか。これ以上、主を待たせるわけにもいかない。先に行くぞ」


 七は館の方に目を向ける。主であるキスやメアリを待たしている身だ。それらを気にするのも従者としては当然。


「壱もです。私達だけだと、これ以上は分かりませんよ。死体を館に運ぶのは駄目ですし、戻りましょう」


 零はカイトを腕を引き、館に連れ戻そうとする。


『待て。私も気になる事がある。多くは無理だとしても、死体の側に。出来るなら、触れてみてくれ』


 死神は死体に触れるよう、カイト指示を送る。触れるだけで何が分かるのか。


「最後です。死体に触れるだけでも」


 カイトは死体へと手を伸ばす。零もそれだけであるなら、許しそうなものだったが。


「七!! アンタ達もすぐに戻ってきなさい!!」


 それを止めたのはキス。館内から七達を呼び戻すように叫んできた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ