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認識

「彼女の頭らしき物は見当たりません。侵入者が隠れる場所もなさそうです」


 七は淡々とキスに状況を報告する。


 扉を全開にした事で、追加された情報。


 死体は館の敷地内。門より外に出ておらず、館寄りの位置に当たる。


 庭に設置されている像が隠れ蓑になりそうだが、大人一人が隠れる程大きくはない。


 本来、像の役割は館のトラップであり、防衛の魔導具でもある事から、近寄らないようにするのが妥当だろう。


「目を凝らしても、アルカイズ様の姿も見えませんね。探知魔法、気配遮断に得意とするアルカイズ様でもそうなのですから」


 メアリは次に気配遮断の魔法対策。目を凝らして見る。気配遮断を得意とするアルカイズもそうなのだから、侵入者がそれ以上に気配を消すのは無理だろう。


「……これ以上は無理そうね。あの死体を確認に向かうのを許可するわ。勿論、見に行くのは七と壱よ」


「私達も確認に行った方が良いのではないでしょうか?」


 死体がどうやって殺されたのか。死体に魔力が残ってた場合、侵入者の仕業であると判断がつくが、従者のカイトや七には分からない事である。


「魔物対策よ。魔物には私達の魔法が通じないでしょ。あの死体を放置してる事を考えれば、可能性は低いだろうけど、危ない橋を渡る必要もないわ」


 キスは侵入者もそうだが、魔物を警戒している。魔法が通じないのであれば、侵入者よりも警戒すべき相手だ。


「まずは七達に死体の損壊を見てもらうわ。魔物に襲われたのか、侵入者なのかぐらいは分かるわよね」


 勿論、あの死体が三であればの話ではある。


 今の時点で、三が戻ってくるはずの時間は過ぎている。それでも戻って来ないのは、そういう事なのだろう。


「……それでしたら、あの死体をこちらに運んでくるのは駄目でしょうか。僕と七の二人いれば、問題はないはずです」


 あの死体を調べるのに、二人が館から出る必要はない。カイト達がそれを館に運べばいいだけの話だ。


「良い案です。それだったら、私達が倒れている人物を見る事も」


「残念だけど、私は拒否するわ。侵入者がそう仕組んでいる可能性もあるから。あの人形と同じようだけど、頭だけがない理由が見当たらない」


『そうだな。死体を発見させるのが目的であれば、頭だけを隠す意味はない。むしろ、あった方が恐怖は増すだろう。館に運ぶ込むため……というのは理由にはなる』


 十のように死体は消えておらず、その場に残っているのは何故か。


 死体があるのをメアリ達に認識させるため。この死体が三であった場合、彼女が外に出てからの情報を誰も持っていない。


 十は鏡越しではあるが、メアリが刺される場面を見ている。三にはそれがない。殺されている証拠がない。


 そのために死体を見せる必要がある。であるはずなのに、頭がなければ、確実とは言えなくなるのではないか。


 この敷地内において、メアリ達以外にいるのは侵入者と館の主のみ。新たな人物がいないのであれば、彼女しかいないと判断してもおかしくはないのは理解は出来る。

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