表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
211/491

首なし

『はぁ……先に君が何処まで見えているかを、私に教えなさい』


「それは……彼女との差ですか? そこまで変わらないと思いますけど」


 死神はカイトが勝手に事を進めていく事に溜息を吐きながらも、扉の隙間から外を確認。


 勿論、彼女自身も見る事自体は悪い事だとは思ってない。だが、万能感を出すのは相手に警戒心を生んでしまう。


『本当に彼女が見えてないのか。倒れているのが見えているのであれば、服装やその色、何かしらの情報があってもおかしくはない』


 三であれば、槍を装備していたはず。側にそれが落ちているか、それとも握り締めているのか。零は皆にそんな些細な情報を教えてもいいはずだ。


「見えるのは……館に向いている方は足側。顔までは流石に無理です。槍? 長い棒みたいなのが落ちてます。それに服装は……白。魔法使いのローブも付けてないです」


 カイトの目だけでも、これだけの情報が手に入った。零の視力が悪い可能性もあるが、信じたくないという気持ちもあったのかもしれない。


 倒れているのは高確率で三。アルカイズを示す白色の服を着ている事のもそうだ。


「それと……手足をちゃんと付いてます。魔物に喰われたとかではないかもです」


 倒れている人物の手足をちゃんとあるようだ。魔物に襲われた場合、まともに体が残ってなくてもおかしくはない。その報告はキスやメアリにとっては重要だろう。


 ただし、死神の場合は違う。彼女が魔物の死体を一時的に擬似的世界に組み込ませた。すでに戻しており、この世界に魔物は存在しない。


 彼女達の記憶からも魔物が登場する事はなく、本来の世界に実在していても、この事件には関係してないのだ。


「……以上です。侵入者や魔物が隠れているかは流石に分かりそうにありません」


『メアリ達に伝える情報としては十分だとは思うぞ。私もこの狭い視界からは、侵入者が隠れているかは見える範囲でしか分からないからな』


 メアリ達に伝える情報としては十分ぐらいだろう。逆にいえば、それぐらいは零でも確認出来た事になるのだが。


『しかし、君としてはもう少し付け加えておきたいのだろ? あれは倒れているのではなく、死んでいる。あそこには血溜まりが出来ているぞ』


 死神はカイトが見た内容に、追加情報を付け加えていく。


 まず、あれが死体だと確定させる。血溜まりが出来る程であれば、死んでいるのは間違いないだろう。


『手足が無事だと君は言ったが……首が切断されているな』


 カイトの目では更に奥側は見えなかったが、死神の目ではその先が見て取れた。


 その死体には首から上がないようだ。血溜まりが出来たのも、それが原因だと考えられるのではないか。


「それって……やっぱり」


 首が切断された状態の死体。それは三の人形と同じ姿になっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ