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ピクリとも動かず

「それでは」


 零は鍵の解錠をしていく。館の入口の鍵は一つではなく複数。一つであれば、魔法で容易く開けられてしまうからだ。


「これで……最後。開きますよ」


 零は入口の取っ手に手を向ける。


「気をつけてください。開ける一瞬は無防備になってしまいますから」


 零が外側に扉を押す形になるのだが、侵入者が待機しているのであれば、その瞬間を狙われる可能性がある。


「大丈夫です。ゆっくりと開けていきますから。怪しい物が見えたら、一度閉じて、メアリ様達に報告します」


 零も三を気懸かりだと思いながらも、そこは慎重のようだ。他者の心配も大事だが、やはり、自分の命を優先するのは当たり前だ。


 彼女はゆっくりと入口の扉を開いていくのだが、途中でその手が止まった。そこから閉じもしなければ、開けもしない。もしかして、魔法で固定されたのか。


 だが、まだ人が入れる程の幅まで開けていない。


「どうしたのよ。さっさと説明しなさい」


 キスは痺れを切らせて、零を怒鳴りつける。その声が外にも届けば、侵入者や魔物が反応するかもしれないのだが。


「誰かが倒れてます。……ピクリとも動きません」


 零の視界に誰かが倒れている姿が目に入ったようだ。しかも、一向に動く様子はない。つまり……死んでいる可能性が高い。


 ここで倒れている人物の候補は四人。


 侵入者と館の主であるゴールド=ゴール。候補に含まれるが、ないに近いだろう。


 残る二人はアルカイズと三。この二人を考えれば、第一候補となるのは三だ。


「少し代わってもよろしいですか? 僕は目が良い方なので、もう少し情報が得られるかもしれません」


 カイトは零というより、メアリとキスに頭を下げた。


 このまま開けるのか、一度閉めるのか。これはメアリとキスが決める事だが、そのためにも多くの情報を手に入れておくべきである。


 カイト自身の目では無理でも、死神の目であれば、何かを掴んでくれるはず。


「十中八九、三でしょ。けど、アンタが見えるというなら、情報を少し得てから決めるわよ。死体よりも、他のが見えたら一番なんだけど」


 キスからすれば、予想通りの展開だろう。あの死体が三だとして、それを餌に一人でもこちらに誘き出そうとしてるのか。


 死体よりも、侵入者が機を窺っている姿の方をカイトに見て欲しいところなのだ。


「待ってください。まだ時間はあります。従者とはいえ、少し遅れてくる可能性もあります。もしかしたら、倒れているのも、十の死体の可能性もあるのではないでしょうか?」


 メアリは十やディアナに続いて、三が殺された事を信じたくないようだ。


 十の死体という可能性もゼロではない。彼の死体は現場から忽然と消えている。


 侵入者が利用するため、所持していてもおかしくはない。


「壱……確認をお願いします。私に気を使わず、ちゃんと答えてください」


 キスとメアリが承認した事で、零とカイトの場所が入れ替わる。入口の扉は僅かに開いたままだ。

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