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開放時間


「キス様、メアリ様。時間まで残り十分です。予定よりも早いですが、先に入口の鍵を解き、扉を開けますか?」


 カイト達が一階へ降りると、案の定、零が先に入口前で待機していた。彼女達が降りてくるのに気付いたのも、階段の軋む音が聴こえたからだろう。


「三も従者であるのだから、決められた時間よりもアンタのように早くに待機しているのが当然なんだけど……メアリが決めなさい。アイツに聞く事もあるのよね」


 書斎の謎解きに重要な悪魔の数字を零が知っているのか。それを彼女から聞くのはメアリの役目だ。


 それを先にするか、後にするか。キスがメアリに選ばす理由がもう一つ。


 三の行動。メアリは従者の部屋で三を疑う場面があったが、結局は彼女を信用する事にしたのだが。


 今は三が館に戻ってくるのを待つ状態だ。


 ここで考えられるのは三つ。


 一つはアルカイズの生死、情報の有無を問わず、彼女が無事に戻ってくる事。


 二つ。侵入者、もしくは魔物に殺害されている。三の姿をした人形が首が切られた状態で発見された事から、状況として、今が一番怪しいと踏んでいる。


 最後。アルカイズと三が侵入者と協力して、メアリ達に攻撃を仕掛けてくる。もしくは、三だけが侵入者の共犯という可能性もゼロではない。


 一つ目を考えるなら、早くに開放した方が三自身も助かるだろう。


 二つ目だった場合、侵入者や魔物が館が開くのを待ち構えている可能性がある。勿論、三の死亡を確認しなければ分からない事だ。これに関しては時間通り、もしくは遅くても良いぐらいだ。


 三つ目。二つ目と似ているようで、違っている。相手が時間通りに来ると準備しているのであれば、早めに開く事で態勢を崩せる。遅くなるほど、相手が有利になる。魔法の詠唱準備も完了するだろう。


 とはいえは、一つ目と三つ目は理由は正反対になるのだが、早く開けた方が良い事になる。


「メアリ様が私にですか? すぐに答えるべきだと思うのですが……同じ従者として、先に彼女が無事かどうかの確認してからでよろしいでしょうか?」


 零は三に館からの外出を許可した側であり、気にするところではあるのだろう。予定よりも早く扉を開けるかをキス達に聞いたのも、自身がそうしたいがためだと分かる。


「……構いませんよ。そろそろ五分前です。それぐらいの時間差であれば問題ありませんよね」


「いいわよ。私はメアリに任せると言ったんだから。けど、七と壱は念の為に武器ぐらいは構えておきなさいよ」


 メアリは時間早く開ける事を選んだ。零の印象を良くして、悪魔の数字を聞き出すため……ではなく、普通に彼女の頼みを聞いたのだろう。


 キスもメアリに任せた以上、文句は言わない……が、警戒は怠らないようだ。カイトと七に武器を構えさせ、自身は少し距離を取っている。


 魔法を使うか否か。下手に構えてしまえば、それだけで魔法の使用扱いになる可能性もあるからだ。

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