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偶然

「そのようね。下手に時間を無駄にするよりかは有効な使い方だったわ。七も調理場でのミスは、謎解きが間違ってなかった場合、不問にしてあげる」


 キスも七から思わぬ情報の提供に少し気分を良くしている。協力関係ではあるが、メアリよりも自身の方が優位を取っていたいのだろう。


 彼女は意気揚々と書斎から廊下へ。七はそれに付き従い、後ろへとついて行く。


 七はミスした分を取り返し、主の評価も元に戻ろうとしているのに一切表情が変化しなかった。


 調理場でのミスの時もそうだったかもしれない。従者は表情に乏しいが、実際はどうなのか。


 三がカイトとアルカイズの話をした時、感情が見て取れたのだが。


 彼にしてみれば、ピアノ室の謎解きを解ける自信があり、帳消しするのも容易いと思っていたのかもしれない。


「私達も謎解きを頑張らないと駄目ですね。気になった事はどんどん言ってください」


 メアリは自分達よりも先に謎の一つを見つけられた事にショックを受けたわけではなく、自身の不甲斐なさを自覚するため、言葉に出てしまったようだ。


「勿論です。十や七が持つ知識が無くとも、発想で取り返します」


「前の主から得た知識ですね。私も博識な主が多くいる事に驚きました。それを従者に話している事も喜ばしい事です。そのお陰で私達は助かっているわけですから」


 彼女は十や七に知識を与えた主に尊敬の念を受けたようだ。


『……腑に落ちないな』


「先程の七の言葉ですか? 流石に気にし過ぎだと」


 死神は先程の七の言動を今も気にしているのか。


『それも関係するが……十と七だ。二人は謎解きに頓挫した時、ヒントを与えてきたわけだ。それも以前の主が教えてくれたと。十だけだったら分かるが、それが二人になれば……偶然としていいのか?』


 今回は七が神の数字の答えを教えてきたが、前回も似たような場面があった。


 十が和差積商の意味をメアリ達に教えた。それもディアナ以前の主に教えて貰ったと。


 神の数字や和差積商の意味を知って、従者が使う事があるのだろうか。


 この時のために準備させたとも取れるのではないか。


「確かに……それを言われると……メアリ様以外、全員いつもと違う従者を連れてきたんですよね」


『そうだな。それはディアナ達本人が証言している』


 ディアナ、キス、アルカイズはこの継承権争いを三人の初舞台にさせたのは確か。


 とはいえ、従者本人が進言出来るはずもないだろう。実力で勝ち取るしかない。


「三もそのような言葉を言ってたら、怪しいと思いますが……彼女に関しては」

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