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呼び止める

「……はぁ。仕方ないわね。私もこの本の数から二つの数字を見つけ出すのは骨が折れる……面倒だわ。下手したら、魔導書による罠があるかもしれないし」


 流石にこの本棚の中から、二つの数字を見つけるのはキスも嫌なようだ。魔導書がその中に含まれているのであれば、キスやメアリが調べないと駄目な事を本人達も分かっている。


「ありがとうございます。もしかしたら、零がどちらかの数字を知っているかもしれません。キス様からすれば、彼女に聞く事に躊躇いがあるかもしれませんが」


 キスは零を共犯者だと疑っている。そんな彼女がちゃんと答えるのかどうか。


 間違った数字を教えて、罰が起きたら洒落にならない。


「構わないわよ。協力関係を結んでいるとはいえ、ここの謎解きをするのはメアリ達よ。アイツを信じるのかはアンタ次第になるから」


 書斎の謎解きをする権利はメアリにある。零がどちらかの数字を知っていたとして、信じるのかは彼女次第という事だ。


『すでに私が数字を君に教えたんだ。間違っていれば、君が食い止めるしかないぞ』


「分かってます。貴女から答えを教えて貰った事で判断がつくのは良かったと思います」


 死神から数字を知れたのはメリットだ。零が嘘の数字を教えても判断がつく。とはいえ、問題がないわけでもない。


『ただ……この数字が確実であるかは分からないぞ。私が知る限りの世界の中ではという話だ』


 死神が教えた数字とは別だったという、万が一という場合もありえる。


 この謎解きを試すのはカイトなのだ。彼が死んだ場合、擬似的世界は消えてしまう。


 死神が言った数字が同じである決め手が欲しいところだ。それが零の言葉であるなら良いのだが。


「はい。そこは私の自己責任ですから。ピアノ室の謎解きを試すにしても……三が戻ってくるまで、あまり時間がありませんね。玄関前まで行く事にしますか?」


 時間は三が戻ってくる三十分前を切っていた。ピアノ室を覗くだけなら出来そうだが、遅れては意味がない。


「少し早いとは思うけど……アイツも少し前に玄関前で待機してるでしょ。その時にでも聞いてみるといいわ」


 本を幾つか調べる時間ぐらいはありそうだが、聞く事で済む話なのであれば、そちらを選ぶ。


 キスはすぐに書斎から廊下へと出ようとしたが、それを止める声が。


「……キス様。思い出した事があるのですが、少し宜しいでしょうか?」


 メアリやカイトではなく、七だ。失敗を取り返すためにも、何か見つけたのか。思い出したとなれば、先程の調理場の出来事か。


 キスが魔法で見た限りは、零が怪しい行動をゴミ捨ての時だけ。それとも会話に不自然な事でもあったのか。

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